一般社団法人 日本医療情報学会

[2-H-1-04] 口腔機能低下症への取り組みを定着させるための独自システムの開発とその効果検証

*矢野 颯人1、大井 悠成2 (1. 操風会岡山旭東病院, 2. 川崎医療福祉大学)

oral hypofunction, oral frailty, medical assistance

【背景】口腔機能低下症は、加齢だけでなく、疾患や障害など様々な要因によって、口腔の機能が複合的に低下している疾患である。診療報酬において、口腔機能の回復又は維持・向上を目的に管理計画を策定し患者に説明する等の医学管理を行った場合について評価されている。しかし、当院において、管理の煩雑さなどの要因から実施回数が伸び悩んでいることが課題であった。【目的】そこで、本研究では、当院独自のシステムを開発することで、口腔機能に関する医学管理の実施件数を向上させ、その運用効果を検証することを目的とする。【方法】院内LAN上で動作する他のシステムと連動するシステムを開発した。主な機能として、検査作成や管理の煩雑さに対処するため、検査入力の自動化と結果の一元管理機能を搭載した。また、患者への説明の困難さに対処するため、検査説明スライドを患者用モニターに表示する機能を追加した。さらに、全職員が取り組める体制を確保するため、システムを活用した研修を複数回実施した。システムの運用は2022年9月に開始し、前後9ヶ月の算定件数の比較、自由回答形式のアンケート調査、取り組みスタッフ数の変化などを調査した。【結果】検査作成時間の自動化によりヒューマンエラーが解消し、取り組み時間が15分短縮された。デジタル管理により利便性が向上した。導入前後9ヶ月の算定件数は約3倍増加した。また、取り組みスタッフ数の制限も解消され、全職員が口腔機能低下症への取り組みが可能となった。【結論】当院の課題に特化したシステムの活用により、検査や管理の煩雑さが解消され、全スタッフが容易に口腔機能低下症への取り組みができるようになり、算定件数も3倍増加した。さらに、職員の成長と患者サービスの向上にも貢献した。今後も口腔機能のケアと管理を通じて、人々の健康維持促進に努める。