一般社団法人 日本医療情報学会

[2-H-1-06] 相互運用性医療機器簡易構築システムの開発

*石垣 駿1、鈴木 志歩1、朔 啓太2、鷲尾 利克3、山岸 義晃4、近藤 昌夫5、荒船 龍彦1 (1. 東京電機大学理工学部, 2. 国立循環器病研究センター, 3. 産業技術総合研究所, 4. 大阪大学医学部付属病院, 5. 大阪大学大学院)

interoperability, OCR, data integration

医療現場では医師は複数の医療機器からの情報を総合的に解釈し,診療における方針決定を行っている.近年,患者データの統合的解析を目的として,複数の医療機器をネットワーク化して統合的なシステム化する『相互運用性医療機器』が登場している.しかし,病院にある既存の医療機器を改造して新たに通信機能を追加することは容易ではなく,実際には相互運用性確立が進んでいないという課題がある.そこで本研究では,既存の医療機器に対し,改造・改良することなく相互運用性確立を可能にする支援システムの開発を目的とした.具体的には医療機器のモニタ画面から数値や文字列をカメラで読み取り,時系列データとして統合的に取得する.システム構成は,ビデオカメラ,Windows PC,PC上で操作するソフトウエアから構成される.PC画面に表示されるカメラ映像に対し,(1)数値が表示される領域を指定すると,(2)その領域内からOCR機能で数値を読み取るソフトウエアを,Pythonを用いて開発した.OCR機能は事前に作成した機械学習モデルを使用して数値の判別を行い,読み取った値をCSVファイルに時系列データとして保存する仕組みである.モニタ画面の数値の切り替えに伴うフォントの重なり表示も画像として学習させ,認識できるように調整したシステムを開発し,評価実験を行った.実際の医療機器モニタの数値読み取りからCSVにその値を書き込むまでの遅延時間は約0.55秒であった.目視判断した数値と比較検証した結果,読み取り精度は99.5%であった.本システムを用いることで,医療機器に改造・改良を行うことなく情報を取得し統合・解析ができ,医療機器の相互運用性の支援が可能であることが示唆された.