一般社団法人 日本医療情報学会

[2-H-1-08] 400床規模の高度急性期病院におけるRPA(Robotic Process Automation)導入効果の検証

*今井 康介1、河村 迅1、坂原 智子1、栗原 絵美1、本地 翔平1、竹本 雄一郎1、室崎 輝1、永井 佳世子1、保本 梨沙1、山本 智恵1、立川 文崇1、吉崎 惇一1、田坂 英樹2 (1. 広島市立北部医療センター安佐市民病院, 2. 広島市健康推進課)

RPA(Robotic Process Automation), Improving the Quality of Healthcare, Multidisciplinary collaboration in healthcare

1.背景
当院は、業務の効率化を目的とし、2022年からRobotic Process Automation(以下:RPA)を導入した。導入時に専任者は配置せず、コメディカルスタッフが中心の多職種でチームを結成した。要望があった部署にチームでヒアリングを行い、自動化を図った。導入から1年が経過し、自動化した業務は現在75存在し、人が行うと月1200時間程度かかる業務を削減できている。
2.目的
RPA導入によって業務の効率化は達成できたが、依頼者は導入効果をどのように感じているか、時間外労働時間(以下:時間外)は減少したか調査する。
3.方法
自動化を依頼した部署にアンケート調査を行った。アンケートの内容は(1)RPAを導入して具体的にどのような効果があったか(選択形式・複数回答可・自由記載可)、(2)時間外が削減された場合は月何時間削減できたか(3)他の業務に時間を割けた場合はその具体的な業務を記載してもらった。
4.結果
回答率は100%であった。(1)導入後の効果として①仕事にゆとりができ、ストレスが軽減した(84%)②他の業務に時間を割けた(72%)③時間外が削減された(44%)となった。削減された時間外は合計で月144時間であった。(3)時間が割けた業務として患者対応(40%)が最も多かった。また、導入はしたが意図したデータが取得できず使用しなかった事例もあった。
5.考察
削減された業務量に比べて時間外の削減量は少ないが、勤務時間帯にゆとりが生まれ、患者対応などヒトにしかできない業務に時間を費やすことが可能となり、医療の質の向上に寄与できた。多職種でチームを構成することで、院内の様々な部署やスタッフからヒアリングを行うことができたことが一因と考えた。導入後使用に至らなかった事例に対しては、電子カルテへの記載ルールを徹底することで意図したデータ抽出が可能となると考えた。