Japan Association for Medical Informatics

[2-H-3-01] 音声認識および大規模言語モデルを用いた看護記録支援システムに関する検討

*Keisuke Nakashima1, Yoshiaki Inoue2, Yasuhisa Nakatani3, Tomoyuki Iwasaki3 (1. 大阪大学 大学院医学系研究科, 2. 大阪大学 大学院工学研究科, 3. 大阪大学医学部附属病院)

Nursing Record Support, Speech Recognition, Large Language Model, SOAP format

看護記録は,看護師の業務の中でも非常に負担の大きい業務の一つとされている.本稿では,看護記録にかかる負担を軽減させることを目的として,音声認識と大規模言語モデル(Large Language Model; LLM)を用いた看護記録支援システムに関する検討を行う.本システムでは,SOAP形式で記述される看護記録を対象とし,音声認識モデルとしては whisper(medium モデル),LLM としてはgpt-4-0314を用いるものとする.本システムの概要を以下に示す.

1. S(Subjective)およびO(Objective)を音声入力する.
2. 入力された音声情報を,音声認識を用いてテキストに変換する.
3. 2. で生成されたテキスト中の誤字・脱字を,LLMを用いて修正する.
4. 3. で出力されたテキストを,LLMを用いて医学・看護用語の観点から修正する.
5. 4. で出力されたSおよびOから,LLMを用いてA(Assessment)およびP(Plan)の草案を生成する.

SおよびOとして想定される5つの具体例に対して,本システムを用いてSOAPの草案を生成した.経験年数が10年以上であり,病棟遍歴の異なる6名の看護師に依頼し,修正されたSおよびO,それらに基づいて生成したAおよびPのそれぞれに対し,「1:修正不要/2:多少の修正必要/3:大幅な修正必要/4:全て修正必要」という4択の評価を行った.各評価の個数(1/2/3/4)は,S:24/2/0/4,O:12/14/4/0,A:0/8/17/5,P:5/21/4/0であり,S,O,Pの評価が高く,Aの評価が低いという結果となった.よって,SとOについては,音声認識によって変換されたテキストを,LLMを用いて修正することで,看護記録にかかる負担を軽減できる可能性があることが示唆された.