Japan Association for Medical Informatics

[2-H-3-02] 重症度、医療・看護必要度Ⅱの推定

*Hiroyuki Ikedo1, Shusaku Tsumoto2, Tomohiro Kimura3 (1. 島根大学医学部附属病院 看護部, 2. 島根大学医学部医学科医療情報学講座, 3. 島根大学医学部医療サービス課)

Severity, need for medical/nursing care, hospital information system, Estimate

特定機能病院入院基本料の施設基準の一つである重症度、医療・看護必要度Ⅱ(以下、必要度)の基準値は、診療報酬改定の度に厳しいものとなってきている。急性期機能病院や回復期機能病院などの後方病院が少なく、医療圏の範囲が幅広い地方の高度急性期機能病院にとって、基準値を安定して確保することは難しい課題である。さらに入院期間の短縮に伴い患者の状況が急速に変化し、重症患者の割合がどのように変化するかを予測することは容易ではなく、基準値を下回ってしまうことは病院経営の根幹を失ってしまうことにつながる。さらに、必要度が確定するのはレセプトデータが提出される約1ヵ月後となり、必要度が低い場合取り返しのつかなくなる事態が考えられる。そこで、これまでの研究で昨日までの速報値を出力することや、クリニカルパス患者に対しての必要度の推定を試みてきた。
今回、病院情報システムに蓄積されている必要度の実績データを用いて、未来の各診療科の必要度の推定を試みた。各診療科の必要度を満たす割合を、入院日数と年齢(年代)により分析を行い算出。必要度の定義である延べ重症患者数を、必要度を満たす割合の和とし、延べ入院患者数との商により必要度を推定した。1日の必要度では各曜日による分散が大きく、また月初では入院患者数が少ないことによる影響を加味し、30日間の平均値を用いた。その結果、A診療科では誤差1%以内、B診療科では誤差10%程度であった。誤差が大きかったB診療科は季節性やコロナの影響を受けている可能性があり、このような結果になったと推察する。今後、季節性や性別などほかのパラメータを追加することで誤差を減衰させることは可能であると考える。
全診療科について必要度の推定を行うことで、本日・明日以降病院全体の必要度がどうなるのかが推定できることになり、必要度の推移を図りながらベッドコントロールが行えることにつながると考える。