一般社団法人 日本医療情報学会

[2-H-3-05] 産後の母親とCHATGPTの応答の看護師評価に基づく分析

*山下 晃平1、大脇 万起子2、中村 由美子3、竹村 匡正1、清水 公治4、湊 小太郎5 (1. 兵庫県立大学大学院 情報科学研究科, 2. 大阪総合保育大学 児童保育学部, 3. 横浜創英大学 看護学部, 4. 京都大学医学部附属病院, 5. 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科)

postpartum depression, language model, ChatGPT, mental health care

産後の母親は身体的・心理的な変化や育児に関連するさまざまな課題に直面しておりメンタルヘルスの悪化により自殺に至る場合もある。こうした課題への適切なサポートは、母親の健康や子供の発達に重要な影響を与えることが示唆されている。
 一方、言語処理技術の進展により、産後の母親への支援においても言語モデルが活用される可能性がある。言語モデルを活用することで、行政や専門機関などで夜間対応が困難であるという問題などに対処できると考えられる。しかし、言語モデルの応答が実際のニーズに適切に対応しているかどうかは明らかではない。
 本研究では、産後の母親とOpenAIが開発した大規模な言語モデルCHATGPT(以下、モデルと呼称)との応答を模倣した会話を看護師に評価してもらい、良い評価を受けた応答に関する分析を行った。本研究の目的は、産後の母親への応答として看護師から良い評価を得られる要素を明らかにすることである。
 実験は、看護師などを対象に行われた。まず、モデルを用いて産後の母親との会話を模倣し、看護師に応答の評価を求めた。評価基準は、適切な情報提供、共感の表現、適切なアドバイスなどとされた。評価の結果、モデルの応答の一部が良い評価を受けたことが明らかとなった。さらに、GPT-4を用いて会話の評価を行い、看護師の評価との相違点などの分析を行った。
 結果として、良い評価を受けた要素を考慮した上で、人工知能モデルの開発や実装においては、産後の母親のニーズに対応するための適切なデータセットが必要であることが示唆された。今後の研究では、さらなる評価や効果の検証を行い、産後の母親への支援におけるAIモデルの構築を試みる。