[2-H-4-01] RWD 利活用を通じて肺癌治療におけるICI の適正使用を考える ~臨床医の視点~
2000年当時のIV 期非小細胞肺癌に対するプラチナ併用化学療法は緩和ケアと比較して余命をわずか1.5か月延長させる効果しかなく、またどの抗がん剤の組み合わせを用いても奏効率は30%、全生存期間は1年程度と大差ない悲惨な状況でありました。しかしながら現在では一度に複数の遺伝子変異を検索し、変異を認めた遺伝子に対する分子標的治療薬を用いることが一般化し肺がん診療は大きく進歩しています。すなわち遺伝子変異を中心としたさまざまな情報に基づく個別化医療が実践されています。また周術期治療における免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の有効性が示され、診療科間での連携に基づく集学的治療の実践が求められています。適切な情報を整理・管理すること、また施設内外で情報を適切に共有することが診療や研究においてより重要となっています。本講演ではデータの利活用に基づく肺がん診療の現状をお話しいたします。