Japan Association for Medical Informatics

[2-H-5-02] 次世代医療基盤法の改正による利活用促進の展望と課題

*Mayumi Yoshida1,6, Toshimitsu Kawai1, Hayato Yamana4,1, Tomohiro Sawa5,1, Katsuya Tanaka2, Yoshinori Yamashita3, Ryuichi Yamamoto1,6 (1. (一財)匿名加工医療情報公正利用促進機構, 2. 国立がん研究センター, 3. 福井大学医学部附属病院, 4. 自治医科大学 データサイエンスセンター, 5. 帝京大学 医療情報システム研究センター, 6. (一財)医療情報システム開発センター)

The Next Generation Medical Infrastructure Act, Anonymized medical data, Pseudonymised medical data, VDI service, Data utilisatioin

2018年5月施行の通称「次世代医療基盤法」(以降、本法)は、今年5月に改正され「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報に関する法律」(以降、改正法)が来年5月に施行される。現在、認定事業者はFAST-HDJを含め3社存在するが、施行後5年で協力機関はそう増えず、しかも診療所の参加が殆ど無いため、長期間に複数の医療機関で治療される慢性疾患等の患者データを名寄せし匿名加工して利用するという本法の得意とする活用が殆ど見られない。様々な課題点を補う方策として改正法で仮名加工医療情報の利活用に係る仕組みの創設、NDB等の公的DBとの連結が加わった。
昨年度は他事業者の不適切収集事案が発生し、患者含め国民の安心と信頼を得るために、当然ながら適切な運用の実施と確認、その上で利活用の成果を出す重要である。本発表では我々の行う事業内容を解説し、仮名加工医療情報の利活用や、改正法で残された課題や今後の対応策を論じる。
認定事業者は収集するデータ形式や種類が異なり、事業の内容も其々に特色を持つ。我々が協力機関に行う支援の例としては提供されたデータのバックアップと非常時でのSS-MIX Viewerとデータの提供がある。利活用者には財団内のオンサイトセンターを提供し、遠方の利用者にはVDI環境を提供する。VDI環境は利用者側の安全管理体制や通信環境に一定の条件や制約はあるが、自身の研究室でも安全に分析が可能である。もちろん、利用者は自身の専用スキーマのみアクセスが許可され、データダウンロードと持出しは不可、持出しを希望する場合は再申請と承認が必要となる。今後の課題点としては、画像データや遺伝子情報の利活用の要望は非常に高いものの、それらの扱いは未だにグレーであり、協力医療機関の拡大に繋がるようなインセンティブも改正法では手当がされず、解決すべき課題点として残っている。