一般社団法人 日本医療情報学会

[2-I-1-02] 臨中ネットにおけるSS-MIX2(Standardized Structured Medical record Information eXchange)標準化ストレージからのデータ抽出環境の構築

*千代島 翔一1、鈴木 英夫1、宮本 一次1、土井 俊祐1、木村 倫人1、小野 啓1、本多 正幸1、鈴木 隆弘1 (1. 千葉大学医学部附属病院)

Medical information database, SS-MIX2 standardized storage, Real-World Data (RWD), Japan Consortium of Clinical Research Core Hospital, Clinical study

・背景
臨床研究中核病院における臨床研究の質を向上させ、病院情報システム内の医療情報データの標準化を図ると共にそのデータを研究等に利活用する、臨中ネットの整備が進められている。
臨中ネットでは医療情報システムにおける標準的なストレージとして普及している、SS-MIX2を用いてデータを取得する。しかし元々がデータ交換規約で、ファイルストレージとして構築されているため、データベースとして利用しやすい構造とは言えず、深い階層のファイルをスキャンする必要があることから、特に速度面から実用的とはいえなかった。今回我々は臨中ネットにおける標準データベース構築のために、実用的な速度でSS-MIX2標準化ストレージからデータを抽出するツールを開発したので報告する。
・対象と方法
千葉大学医学部附属病院のSS-MIX2標準化ストレージサーバに保存された約10年分の情報に対して、SS-MIX2ファイルのコピーとインデックスの作成、およびデータ変換処理によるデータテーブルの作成を行うことでデータベースを構築した。このデータベースは臨中ネット標準データテーブルの定義に従った出力が可能であり、日次処理及び月次処理によって更新され、SS-MIX2標準化ストレージ側の物理的なファイル削除、および患者フォルダそのものの削除にも対応している。
・結果
初回はインデックスを作成するために約2週間が必要であったが、日次処理、月次処理は半日程度で終了し、データベースは最新に維持されている。
・考察
これまでは「SS-MIX2標準化ストレージから患者横断的に大量の情報を取得することは困難である」と考えられていたが、我々はファイルへのアクセス方法を工夫することでこれを可能とした。現在臨床研究中核病院での設置を準備中であるが、将来的にはSS-MIX2標準化ストレージを持つ全ての病院で動作可能であり、臨床研究に寄与することが期待できる。