一般社団法人 日本医療情報学会

[2-I-3-02] 長崎県の地連「あじさいネット」を利用した皮膚科難病レジストリ構築

*松本 武浩1,2,3、木下 琢也2、阪本 純一2、臼井 哲也1,4、岩元 泉1,6、藤沢 章令1,6、辻 明美1,5、高石 恭子1,5、山下 利佳1,7、野上 朋幸1,7、伊藤 眞由美1,6 (1. 長崎大学病院 医療情報部, 2. 長崎大学医歯薬学総合研究科 医療情報学, 3. 長崎大学病院 メディカルサポートセンター, 4. 長崎大学病院 検査部, 5. 長崎大学病院 看護部, 6. 長崎大学病院 医事課, 7. 長崎大学病院 口腔管理センター)

Registry, EHR, PHR, Health Information Exchange, anhidrosis

【背景】長崎県の医療連携ネットワーク(以下 地連)「あじさいネット」では、拠点病院の電子カルテ共有に加え、遠隔画像診断、検査結果共有システム、ネットワーク型パス(以下 ネットパス)、インテグリティヘルスケア社のYaDocを利用した遠隔診療とPHR機能等を付与し機能強化している。今回、厚労省研究班(室田班)の皮膚科難病「無汗症」レジストリをネットワーク型パス強化により構築した。
【システム概要】ネットパスは、オンライン型の疾病管理システムとして、心不全パス等で利用されており、患者毎の疾病特有情報に加え、複数医療機関での問診、診察、検査情報等が記録でき、検査結果は、検査結果共有システムにより自動で格納される。本ネットパスにて無汗症レジストリを構築した。本レジストリは、本研究班の事務局である長崎大学病院と本研究班所属の9病院がVPN経由にて接続利用し、全国約500患者がこのいずれかを受診し全例登録される。さらに、YaDocを利用したPHR機能により、特有の症状等を患者自身が入力し蓄積し分析対象とする。また、本疾患は、皮膚の清潔保持が容易でなく、感染も合併しやすいため、患者には、最新の皮膚管理方法等の情報提供が必要である。このため、最新情報をデータベースに格納しYaDocにて自身が閲覧できるよう構築予定である。
【考察】近年、多くの疾病レジストリが構築されているが、高額な維持費により継続困難ケースがある。「あじさいネット」は、EHRとPHRの基盤であり、既存の機能を最大限活用することで、低コストでの構築が可能であり、研究班が負担可能な費用での運用が見込まれた。全国医療情報プラットフォームが構築される中、地連との機能重複が指摘されているが、地連の基盤としての活用は、差別化に向けても有効と思われる。