Japan Association for Medical Informatics

[2-J-4-05] リモートデスクトップ接続機能を用いた遠隔診療環境の構築と運用

*Tomoyuki Tayama1, Naoki Nakamura1, Tetsuya Kikuchi1, Fumiki Kato1, Atsushi Terasawa1, Hideki Ota1 (1. 東北大学病院)

COVID-19, Telemedicine, Remote Desktop Connection

新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、自宅待機による医師の人手不足が発生し診療に支障が生じる事態が懸念されたため、電子カルテを遠隔操作できる環境の整備が必要であった。当院では電子カルテのVDI環境を有してなかったため、クラウド型のリモートアクセスサービスを活用することで、安全にWindows標準のリモートデスクトップ接続機能で遠隔操作できる仕組みを実現した。遠隔接続用の端末は利用頻度がそれ程高くないことを考慮し、病棟・外来・医局などに配置されている既設の診療支援端末を活用して本サービスを提供することにした。常に遠隔接続ができてしまうとセキュリティ上望ましくないため、通常時はリモートデスクトップサービスを停止しておき、遠隔接続が必要な時に限って院内で勤務する職員が接続許可操作をすることでサービスを起動し、接続を制御することにした。この仕組みを実現するため、下記に示す遠隔接続の制御プログラムをWindowsのPowerShellを用いて実装した。プログラムを起動するとウインドウが開き、診療支援システムのアカウントとパスワードで認証する。認証の可否は院内のLDAPサーバで実現する。認証が通ると、リモート接続する時間(分)を選択する画面が展開され、指定された時間リモートデスクトップサービスが起動する。指定時間が経過するとリモートデスクトップサービスを強制的に停止し、端末を再起動してローカルの画面を操作できるようにする。遠隔接続用の診療支援端末のデスクトップに実装した制御プログラムを配置し、令和2年4月から令和5年6月まで大きなトラブルなく運用してきた。当初の想定通り、遠隔接続の利用頻度も月平均40時間程度でさほど高くなく、病棟、外来、医局にある端末を活用して安定して遠隔接続サービスを提供することができた。今後は本仕組みを拡張し、医師の宅直などでも活用できる仕組みとして検討を進める。