Japan Association for Medical Informatics

[2-J-5-03] Virtual Reality(VR)を活用した多職種連携能力向上のための教材開発とその評価

*Shotaro Komaki1, Shogo Baba2, Yuuko Yotsumoto3, Takayuki Yamashita4, Daisuke Hirahara5 (1. 鹿児島医療技術専門学校 言語聴覚療法学科, 2. 鹿児島医療技術専門学校 診療放射線技術学科, 3. 鹿児島医療技術専門学校 作業療法学科, 4. 鹿児島医療技術専門学校 理学療法学科, 5. 学校法人原田学園 人工知能研究所)

Virtual Reality, Development of Teaching Materials, Interprofessional Education

【はじめに】
 近年、チーム医療や多職種との協働・連携が推奨されている。しかし、多職種連携に関する教育は、設置される学部・学科や併設機関等が養成校ごとで異なる為、均一な実施は困難であり、学習経験の偏りは免れられない現状が存在する。今回、VRを導入し、連携場面を疑似体験できる教材の開発を行い、医療・福祉の専門職6学科で同一の内容にて多職種連携教育の実証講義を行った。実施にあたり、講義前後の多職種連携の意識・理解等に関して、また、VRデバイスを含めた視聴デバイスの差異における教育効果の検証を行った。
【方法】
 診療放射線技術学科、看護学科、介護福祉学科、作業療法学科、理学療法学科、言語聴覚療法学科の6学科の学生を対象に、多職種連携に関する一般的な理解促進とグループ演習を事前に実施した。その後、視聴デバイスの効果判定として、嚥下造影検査場面における多職種協働場面を、①VR視聴群、VR非視聴の2群(②教室内スクリーンでの動画視聴群、③PC画面での動画視聴群) の計3群に対し、知識・理解度や専門職の役割理解に関した12の質問項目を5件法による自記式質問紙を行った。本研究は、所属機関の倫理委員会の承認を得て実施した(第21013号)。
【結果】
 全学科より対象者数は224名であった。実証講義前後において、全ての質問項目(12/12)で講義前と比べ講義後に有意に高い結果を認めた。視聴デバイスによる違いでは、「問題解決能力」、「尊重の態度」に関する2つの質問項目(2/12)にて、①VR視聴群が、③PC画面での動画視聴群と比べ有意に高い結果を認めた。
【考察】
 昨今、VR技術により得られる没入感を活用した教材が多く開発されているが、多職種連携に焦点を当てたコンテンツは少ない。VRは多職種との協働・連携態度の醸成に関する有効性が示唆され、専門職連携が強化される事で保健労働人材不足への対策にも寄与出来ると考える。