一般社団法人 日本医療情報学会

[2-J-5-05] D to P with Nの遠隔診療において発見された白内障症例に対し、眼科において白内障手術を実施、良好な視力が得られた一例

*西村 裕樹1,2,3、ローハン ケムラニ1,3、髙橋 塁1、西村 怜1、伊藤 貴重3,4、依田 龍之介5、丹治 信2,3、横岩 良太3、植松 千聖1、中山 慎太郎2,3、佐藤 真理1,2、清水 映輔1,2,3 (1. 医療法人慶眼会横浜けいあい眼科和田町院, 2. 慶應義塾大学医学部眼科学教室, 3. 株式会社OUI, 4. 今井眼科医院, 5. 株式会社Contact)

Doctor to Patient with Nurse, D to P with N, catarct, Smart Eye Camera, Telemedicine

緒論
白内障は、加齢性で、失明リスクを伴う眼科疾患である。画像診断の診療科である眼科において、遠隔診療が盛んになってきている。今回、ポータブル眼科診療機器を用い、 D to P with Nの遠隔診療で、白内障を発見し、その後、眼科で手術を行い、視力が良好であった1例を報告する。
症例
症例(P)は81歳女性。老人ホームに入所しており、両眼の視力低下を主訴に、当院に往診を依頼。看護師(N)が、手持ち屈折計・手持ち眼圧計・手持ち細隙灯顕微鏡(SEC)等を持参し、眼科検査を実施し、当院眼科専門医(D)による、遠隔診療が実施された。遠隔診療時所見は、視力:RV=0.3、LV=0.3、眼圧:22/24mmHg、屈折:測定不可、SECにて、両眼の白内障と皮質白内障を認めた。視力低下は、白内障あるいは、眼底疾患の可能性があり、眼圧も高眼圧である。P及びご家族に状態を説明し、当院へ受診する方針となった。第49病日にPが当院を受診。細隙灯顕微鏡検査にて、両眼NS3の白内障を認めた。第75病日に右眼、第89病日に左眼の白内障手術を実施。翌日当院にて術後診察を行い、合併症もなく経過。第129病日に視能訓練士と訪問した検査所見は、視力:RV=0.8×IOL、LV=0.8×IOL、眼圧:18/15mmHg、SECでは、眼内レンズ挿入眼であり、術後経過良好だった。
考察
老人ホームにて眼科受診希望のあるPに対し、Nが訪問し、ポータブルの眼科検査機器を使用し所見を取得し、Dが検査所見を読影しPとの間で診療を行う、D to P with Nで遠隔診療が実施された。手術適応の白内障を発見し、遠隔診療を実施した眼科医療機関で白内障手術をしたことで、良好な視力が得られた。
結論
D to P with Nの遠隔診療において、白内障手術適応の症例を発見し、白内障手術を実施し、良好な経過を得ることができた。