Japan Association for Medical Informatics

[2-J-5-06] 3Dセンサーを使用した患者見守り支援サービスシステムにおける 動作検出アルゴリズムの開発と患者プライバシィリスクの検討

*Masami MUKAI1, Yukihiro Yoshida2, Masaya Yotsukura2, Kazuo Nakagawa2, Mieko Machida3, Miyuki Kanemitsu3, Yoshiaki Miura4, Katsuya Nagase4, Yota Ozeki4, Tomohisa Saito5, Masato Kataoka4, Shun-ichi Watanabe2 (1. 国立がん研究センター中央病院医療情報部, 2. 国立がん研究センター中央病院呼吸器外科, 3. 国立がん研究センター中央病院看護部, 4. タカハタプレシジョン株式会社先進事業推進部門, 5. タカハタプレシジョン株式会社コーポーレート部門)

3D sensor, medical safety, patient privacy

【背景・目的】患者の高齢化とともに入院中にせん妄を発症する患者が増加していることが問題となっている。特に夜間せん妄は看護師の負担が増加するだけではなく、転倒・転落や点滴の自己抜去などのインシデントの発生につながるため対策が必要である。本研究では、入院中の患者、及び術後患者による転倒、自己抜去等の異常行動が発生するケースに対して、特定の行動、注意が必要な行動を3Dセンサーで検知し、アラートを知らせる見守りシステムを開発する事で、術後の安全管理の向上や、ケアの負担による看護師の労働負担の改善に繋げる事を目的とする。今回、危険動作の検知のためのアルゴリズムを検討したので報告する。【方法】立体的な情報収集が可能な3Dセンサーが発出する点群データを用いて、対象の動きを点群データの変化を基に解析し、人体の特定の動作および行動にタグ付けした。【結果】撮像方向が正面である等遮蔽物が無い状態では、ベッド付近にある静物の区分けを行い、人体の四肢の動き、ベッド上での仰臥、半身の起き上がりやベッドからの離脱を検出することができた。【考察】アラート通知を発出すべき基本的な動作の検出を実現できた。一方で患者の体勢により一部の動作検知の精度が低くなるという限界も判明した。近赤外光による目に見えない安全な光で動作を検知・認識するため消灯後でも患者の就寝を邪魔することなく撮像が可能であった。通常のカメラで用いられているRGBカラー画像を使用せず、点群データにより動作認識を行うため、個人を特定する情報の取得リスクが低く、プライバシィにも配慮されていると考えられる。今後は検出した動作の中で、アラートを上げるべき動作の検討やトイレの使用等時系列の中で問題が無い行動と何らかの通知を行うべき行動等の精査を行うようなアラート通知のための要件の検討を行う予定である。