[3-A-1-01] 医療データの利活用の未来を考える——EUのEHDS構想を参考に──
現在、世界では、診療現場で発生する医療データを活用し治療の質を高めるとともに、収集された大量のデータを活用して、医療政策の立案、医学研究、医薬品の開発等を推進することが期待されている。
EUでは、パンデミックの経験から、域内のどこでも最善の治療が受けられる仕組みを構築することによって、治療の質の向上(一次利用)を図ることに加えて、政策、研究、開発(二次利用)推進のために、域内に共通の情報基盤の構築を目指すEHDS(European Health Data Space)構想の実現をめざしている。
わが国でも、医療DXの推進を図っているが、システムの標準化の後れ、過剰な個人情報保護制度の存在等から、システム全体についてのグランドデザインを欠き、先進諸国からはかなり後れている状態にある。
医療の質を高め、とくに医学研究や医薬品等の開発を加速していくためには、利用目的に応じてデータの質や形式を確保しつつ、行政機関、研究者、企業等が効率的にデータにアクセスし利用することができるシステムを整備していくことが必要である。
そのようなシステムでは、標準化された形式に従って収集されたデータが安全に格納保管される環境と、蓄積されたデータを共有、交換し、状況の把握や分析のために、効率的かつ迅速に利用できなくてはならない。
とくにわが国の場合、個人情報保護のための厳格な同意取得と匿名化の要請がデータ収集の負担になり、研究推進の障害になっていることは否めない。過度に同意に依存することなく、安全に個人情報である医療データの利活用が可能な制度について考えてみることにしたい。
EUでは、パンデミックの経験から、域内のどこでも最善の治療が受けられる仕組みを構築することによって、治療の質の向上(一次利用)を図ることに加えて、政策、研究、開発(二次利用)推進のために、域内に共通の情報基盤の構築を目指すEHDS(European Health Data Space)構想の実現をめざしている。
わが国でも、医療DXの推進を図っているが、システムの標準化の後れ、過剰な個人情報保護制度の存在等から、システム全体についてのグランドデザインを欠き、先進諸国からはかなり後れている状態にある。
医療の質を高め、とくに医学研究や医薬品等の開発を加速していくためには、利用目的に応じてデータの質や形式を確保しつつ、行政機関、研究者、企業等が効率的にデータにアクセスし利用することができるシステムを整備していくことが必要である。
そのようなシステムでは、標準化された形式に従って収集されたデータが安全に格納保管される環境と、蓄積されたデータを共有、交換し、状況の把握や分析のために、効率的かつ迅速に利用できなくてはならない。
とくにわが国の場合、個人情報保護のための厳格な同意取得と匿名化の要請がデータ収集の負担になり、研究推進の障害になっていることは否めない。過度に同意に依存することなく、安全に個人情報である医療データの利活用が可能な制度について考えてみることにしたい。