一般社団法人 日本医療情報学会

[3-B-1-01] IBMにおけるHL7 FHIRに関する取り組み状況について

*木村 雅彦1、鈴木 進1、関 雅子1 (1. 日本アイ・ビー・エム)

HL7 FHIR, Electronic Medical Record, SS-MIX2, Clinical Research, Data Service Platform

IBMにおけるHL7 FHIRに関する取り組み状況について紹介する。 弊社では3年ほど前から電子カルテの診療情報をFHIRのREST APIで取得できるファサード型のFHIRサーバーの開発に取り組んでおり、現在21種類のFHIRリソースの検索に対応している。JP Core V1.1.1に対応し、厚労省標準規格に準拠した診療情報提供書や退院時サマリの出力も行える。 また、SS-MIX2の標準化ストレージをデータソースとするファサード型のFHIRサーバーの開発も行っており、現在10種類のFHIRリソースの検索に対応している。新たにインデックスDBおよびトランザクションストレージにも対応し、複数の患者にまたがる検索やデータの発生順での差分出力が行えるようになった。 クライアント側の機能としては、高機能電子カルテチャート(AiMedics)の開発を東京大学大江研究室などとの共同開発として行っている。これは、電子カルテの診療情報を俯瞰的に参照することを目的としたWebアプリケーションであり、FHIRサーバーから取得した7種類のFHIRリソースを、タイムチャート形式や温度板形式、リスト形式、グラフ形式で表示することができる。 応用事例としては、民間保険診断書のデジタル化やCOPD再入院・死亡リスク予測システムでの利用などのほか、グループ病院内の複数施設の電子カルテ情報を収集して臨床研究に利用するための基盤がある。この基盤では、あらかじめ臨床研究ごとに定義した対象患者や対象データに基づいて、電子カルテDBないしSS-MIX2標準化ストレージから前述のファサード型FHIRサーバーを介してFHIRリソースを取得し、仮名化した上で中央のFHIRリポジトリに保存する。保存したデータは簡易症例ビューアや前述の高機能電子カルテチャートで参照でき、CSVファイルにエクスポートして外部の解析ツールで利用できる。