一般社団法人 日本医療情報学会

[3-B-1-07] 透析情報の標準規格開発並びに透析診療施設間の連携を支援する標準化

*宮崎 真理子1、岡田 美保子2、菊地 勘3、峰島 三千男4、山川 智之5 (1. 東北大学大学院医学系研究科腎・膠原病・内分泌内科学、2. 一般社団法人医療データ活用基盤整備機構、3. 医療法人社団豊済会 下落合クリニック、4. 順天堂大学 医療科学部臨床工学科、5. 公益社団法人日本透析医会)

HL7 FHIR, dialysis information, disaster assistance

我が国には35万人の末期腎不全患者がいる.患者は検査・処方など全ての患者に共通する医療情報と、透析患者にしかない特有の情報を持っている。後者は「血液透析各回の治療のオーダー入力に相当する項目」と、週3回の「実施情報」に分れる。さらに実施情報には生体情報と,装置の設定や運転情報がある。 このように透析医療では個々の患者移動・救急医療や災害時の大規模な医療救護活動において大量の情報を共有する必要があることが脆弱性の一つといえる。そこで我々は透析情報の標準規格の策定を行うため、研究活動を行っている。 情報項目標準化の範囲について議論を行い、策定した標準項目についてはFHIRマッピングを行ない、透析情報項目からのFHIR記述仕様案を纏めた。しかし、実際の電子カルテシステムや透析情報システム、装置の記憶モジュールからのデータ出力などの具体的な検討をおこなうと、透析医療情報の標準項目策定からFHIR形式出力、サーバへのアップロードを完了するための工程がいくつか残っていることも明らかになった。透析装置、透析部門の情報システム、電子カルテシステムの仕様を確認し、定義や用語の違いを調整してできる限り自動出力で集約することを目指していく必要がある。さらには情報システムを導入していない医療機関でも手入力できる項目数を緊急時に役立つミニマムなデータ項目として設定することも考慮する必要がある。 今後「透析情報標準規格(FHIR記述仕様)」の発行を経て、これを実装した装置やシステムが全国の透析医療施設で採用されることで、患者さん自身が電子的に自身の透析情報を保有できること、平時も緊急時も医療者の負担が最小化されて透析情報の共有が進むことが透析医療のSDGsとしての面からも期待されている。また、標準規格の内容を透析医療者と情報技術者とが活発に議論を続け、透析情報標準規格の質を経時的に高める必要がある。