一般社団法人 日本医療情報学会

[3-C-1-03] 「信頼されるAI」の実現にむける法規制と国際標準化について

*鄭 育昌1 (1. 富士通株式会社)

Trusted AI, regulation of AI, Standardization of AI, Artificial Intelligence

昨今、世界中のあらゆる産業でAIビジネスが活発化しており、AIは、社会の重要な判断を行うためにも活用できます。しかしながら、使い方を誤ったり、AIの特性をよく理解せずに使用することで、人権や社会価値へのインパクトも懸念され、かえって社会に悪影響を及ぼすリスクがあることも事実です。このような新技術を正しく活用するための知恵や知識が求められており、現在では多くの国がAI利活用の原則やガイドラインを策定しています。 特にハードロー・アプローチを取る欧州連合(EU)がAI法案(AI Act)を2021年4月に発表、2025年の施行も計画されています。この欧州AI法案に違反した企業は多額の罰金を含む制裁の対象となるのですが、多くの国や業界がこれを受け入れる姿勢を示しており、本法案に準拠するための具体的なプロセスや手段の整備が今後の急務となっています。 本稿では、信頼されるAIの実現にかかわる法規制と国際標準化の現状についてまとめています。特にEU AI Actを中心としたAI規制、及びその実施細目の規定になる国際標準(整合規格)の動向及び概要に着目します。さらに、AIの国際標準について、認定・認証に関連する国際標準とその背景、倫理,AIと人間の関係性など、信頼されるAIの実現にむけた国際標準の概要も紹介します。