一般社団法人 日本医療情報学会

[3-C-3-01] システムベンダーの立場から考える歯科情報標準化の課題や将来性について

*岡 大輔1、飯田 惠一郎1、山田 文香1 (1. 富士通Japan株式会社)

dental information, standardization, data utilization

近年、主に医科分野においては電子カルテ情報の標準化が進んでおり、厚労省標準規格として採択された3文章6情報が、HX7 FHIRの規格を用いて情報を保持することで標準化された診療データを2次利用するための整備が進んでいる。それにより、今後はオンライン資格確認やマイナポータルの仕組みを活用し、医療機関や薬局間だけでなく、患者(国民)自身にも医療情報の共有が進んでいくことが想定される。
 歯科分野における情報の標準化については、近年厚生労働省および日本歯科医師会による「歯科情報の利活用及び標準化普及事業」において「口腔診査情報標準コード仕様」が厚生労働省標準規格として採用された。富士通の電子カルテシステムでは、この標準化の流れに乗り、電子カルテに蓄積された歯科診療データのうち、初診時の口腔内診査情報および歯科病名、歯科処置情報を組み合わせ、この標準コード仕様に準拠した「口腔状態スナップショット(最新の口腔状態)」をCSVデータとして出力する機能を実装した。
 この機能により、大規模災害時等においてご遺体の身元確認に電子カルテシステムから標準化された歯科情報をCSV形式で出力して活用することが可能となった。しかしながら、身元確認が必要となるような状況は稀であり、日常的にこの口腔状態スナップショットを活用する場面が少なく、標準化した歯科データを有効活用できていない実情がある。
 こうした現状を踏まえて、システムベンダーの立場で今後の歯科情報の標準化を推進していくにあたっての課題や可能性について、医科歯科連携や地域との連携、PHRの観点も交えて発表させていただき、議論を深めたいと考えている。