Japan Association for Medical Informatics

[3-C-3-02] 歯科における電子カルテ情報の標準化の現状と課題

*Tetsuo Onodera1 (1. Japan Dental Association)

Medical Digital Transformation, electronic medical record, Medical information sharing

「骨太の方針2023」では「医療DX推進本部において策定した工程表に基づき、政府を挙げて医療DXの実現に向けた取組を着実に推進する」ことが明記され、今後、医療DXはこの工程表に沿って進んでいくことが政府全体の合意事項として明確化された。
 オンライン資格確認から始まり、患者が自身の保健医療情報を閲覧できる仕組みの整備(マイナポータル等で各種健診結果、レセプト・処方情報、電子カルテ・介護情報等が閲覧可能)、医療・介護分野での情報利活用の推進(医療機関等で患者情報が閲覧可能に、医療機関間における情報共有可能のための電子カルテ情報の標準化等)、電子処方せんの普及、審査支払機関の改革等が予定されている。
 その中でも「医療DX令和ビジョン2030」の三本柱の一つである「電子カルテ情報の標準化」について、歯科においてはまだ先が見えない状況にある。国は、医療機関等での電子カルテ情報の共有は、2024 年度中に先行的な医療機関から順次運用を開始するとしている。電子カルテは既に一定程度普及が進んでいるが、情報共有のために電子カルテの標準化を進め、電子カルテ情報が多くの医療機関等で共有されれば、質の高い医療等の提供に繋がると思われる。
 歯科医療情報をビッグデータとして集積すれば、今後の歯科医療において何に力を入れていけばよいか、何が保険に導入できるのか、フレイル予防に何が必要なのか、多くの課題を分析できるようになるのではないか。
 東日本大震災の際にカルテやレントゲン等の医療情報が消失した経験から、歯科医療情報の利活用及び標準化普及事業に関する取り組みが求められ、日本歯科医師会が中心となり、「口腔診査情報標準コード仕様」を作成し、厚労省標準規格として採用された。歯科の電子カルテ情報の交換・共有においてはコード仕様の実装を要望しているが、歯科が議論の俎上にのぼる際に的確な議論ができるよう準備を進めていきたい。