一般社団法人 日本医療情報学会

[3-C-4-03] 電子カルテにおける剤型、規格、量等が異なる薬剤に対する適切な警告対応の取組み

*橋詰 淳哉1、松本 武浩2、伊藤 眞由美2、江副 智美1、張岳 輝子1、栗原 慎太郎1、大山 要3 (1. 長崎大学病院 安全管理部、2. 長崎大学病院 医療情報部、3. 長崎大学病院 薬剤部)

Contraindicated drug, IRIS Checking System, Preventing the misadministration

薬剤禁忌・併用禁忌薬の誤投薬対策は医療安全管理上極めて重要である。このため電子カルテには、対象薬剤の登録による、処方時の自動警告機能が実装されているが、現状、薬剤の剤型、規格、配合剤、メーカー等の違いを全て網羅した薬剤コードが存在せず、多くの医療機関がこの対応に苦慮している。
 長崎大学病院(以下、当院)でも同様でマスター追加、修正で対応していたが、負担が大きいと判断し、2022年3月から、部門システムとして成分単位での医薬品情報データベースを活用するIRISチェックシステム(以下、IRIS)(株式会社トーショー、メディカルデータベース株式会社)を導入し、処方オーダ時に同システムに問合せ、アラートを表示するシステムを運用開始した。その評価について報告する。なお、アラートに伴う処方制限に関し、禁忌薬は処方不可、副作用薬はコメント入力後に処方可とした。
 2022年3月21日から4月20日までの期間で、患者固有の禁忌薬あるいは副作用処方に対して、IRISが検知した件数を調査した。その結果、禁忌薬の検知件数は192件であり、剤形違い96件、規格違い6件、配合剤20件、メーカー違い8件とIRIS導入後に検知可能となった件数は67.7%(130件/192件)を占めた。また、副作用薬の検知件数は50件であり、剤形違い19件、規格違い4件、配合剤4件、メーカー違い8件とIRIS導入後に検知可能となった件数は70.0%(35件/50件)だった。本システム導入による処方時のレスポンス低下は発生していない。なお、今回の発表では、さらに調査期間を延長した詳細な解析結果を紹介する予定である。
 患者固有の禁忌薬情報は、施設間を超えて共有される必要がある。本システムを活用すれば、他施設と自施設の電子カルテ連携後、剤形違い、規格違い、配合剤、メーカー違いの壁を超えて、効率的に禁忌薬を検知できると考えている。