[3-D-1-02] 「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」改定版
EMC, Electromagnetic Environment, Wireless Telemetry system, Wireless LAN, Guidelines
医療へのICT導入が進み、無線通信はその基盤としての導入が進んでいる。総務省と厚生労働省の調査によると、6割以上の病院が医用テレメータを、9割以上の病院が無線LANを導入している。 しかし、無線通信では運用上のトラブルが後を絶たない。発信機とアンテナの間で電波の送受信が正しく行われないことに起因する患者の異常発生の検知遅れや、無線LANの電波が届かないことによるベッドサイドでの患者情報の参照及び入力の不可など、無線通信のトラブルは患者安全と労働効率に対する脅威となりえる。今後は医療機器の無線通信機能への影響も考慮しなければならない。 電波環境協議会(Electro-Magnetic Compatibility Conference、以下EMCC)は総務省と協力し、2021年7月に「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」(以下、手引き)の改定版を発行した。この手引きは、特に医用テレメータ、無線LAN、携帯電話を中心として、安全な導入と運用に資する情報と、病院に求める管理体制をまとめている。改定版では病院内の各区域における注意点(「エリア別対策実施例」)を掲載すると共に、無線LANについてはテザリングの取り扱い、携帯電話関連では5Gへの対応などが追加されている。 また、「手引き」は全体で120ページを超えることから、エリア別対策実施例とQ&Aを抽出した小冊子、およびA3版1枚に基本的な注意点をチェック可能にまとめた「エッセンス版」を作成した。「手引き」を含め、いずれもEMCCのWebサイトから無料でダウンロードが可能である。 ここでは改定の背景と共に、新しい手引きの内容を紹介する。