Japan Association for Medical Informatics

[3-D-1-04] 医療機関において安定した無線LAN環境を提供するための取組み
- インターネット系ネットワークの運用トラブルとその対応実績報告 -

*Yasufumi Kita1 (1. Kobe City Medical Center General Hospital)

wireless LAN, DFS, radio investigation

 昨今のコロナ禍に端を発したコミュニケーションツールの変化や医療DXにより、神戸市立医療センター中央市民病院においても、ここ数年、インターネット通信の需要が増加している。その中でも、接続場所に縛られない無線LANへの期待は高く、従来からの情報検索の他に、Web会議やビジネスチャットといった業務用途に加え、Web面会や無料Wi-Fiの提供といった患者サービスの向上に資する利用方法など、多くの場面で無線LAN通信が用いられるようになった。
 一方で、無線LANがつながりにくいといった声を職員や患者から受けることも少なくない。アクセスポイントが院内全ての場所をカバーしていないという根本的な問題はあるものの、それ以外の主な原因として考えられたのがDFS(Dynamic Frequency Selection)である。DFSとは無線LANにおける5GHz帯のうち、気象レーダーなどと重複する特定のチャンネルを使用する際、同じ周波数帯で動作するレーダーなどとの干渉を避けるために無線LAN側の送信チャンネルを切り替える機能のことである。DFSが作動すると、チャンネル切り替えのため1分程度、無線LANを使用することができなくなる。当院では、DFSの影響を受けない周波数帯を電子カルテ系ネットワークへ優先的に割り当てており、インターネット系ネットワークでは、それ以外の周波数帯を使用することからDFSの影響を受けやすい。そのため、Webによる面会や会議などが遮られることがあり、院内のユーザーから少なからずご意見を頂くこととなった。
 そこで、本セッションでは、当院がDFS対象チャンネルを使用することになった背景を踏まえながら、インターネット系ネットワークにおいてDFS問題とどのように向き合ってきたのかについて紹介させていただき、今後の医療機関における無線通信の利活用時の留意点について情報共有を図りたい。