一般社団法人 日本医療情報学会

[3-D-4-04] 医療物流の現状と課題

*大橋 太1 (1. シップヘルスケアホールディングス(株))

日本では効率的な医療物流と医療安全向上のため、世界に先駆けて医療用医薬品、医療機器のバーコード表示が進められ、現在ではほとんどの商品にバーコードが表示されるまでになった。近年ではさらに、医療現場での患者安全と質の向上、働き方改革の観点からRFIDの自動認識技術を活用したトレーサビリティ管理が注目されている。病院で使用する医療材料はSPD業者や医療材料ディーラーの預託在庫として管理されていることも多く、各病院がそれぞれの管理手法、主体となっていることがほとんどである。また、いつ・誰に・何を使用したかという情報がデータ化されていないこともあり、診療報酬請求や管理面での医療従事者への負担が大きい。当社は、病院内物流業務や医療材料卸業などから構成される企業集団である。多くの医療機関に対して、日々、納品、供給、在庫管理を行う中で、特に医療材料については、少量多品種、保険適否区分、預託在庫運用など、管理における特徴があげられる。これらを見据えた中で「患者安全」「医療従事者保護」という『質の向上』と共に、業務の効率化を推し進め、「働き方改革」を含めた『生産性の向上』を図るべく、最新のIT技術を取り込み、業務に組み込む工夫を日々行っている。一つの事例として、2019年の薬機法改正時に義務化された「医療製品へのトレーサビリティ向上のためバーコード表示」を活用して、この情報をRFIDの自動認識技術を使った管理手法に展開した管理方法が挙げられる。これらの上手な活用から、上記で述べた『質の向上』と『生産性の向上』を両立すべく、実際の導入施設における管理手法の取り組み事例を報告したい。勿論、取り組みの中では、未だ未だ阻害要因も多く、同時に、課題整理や、今後における展望も報告したい。