一般社団法人 日本医療情報学会

[3-E-1-02] AMED革新的がん医療実用化研究事業における臨床情報自動収集の取り組み

*鈴木 一洋1 (1. がん研究会有明病院)

[目的]日本国内においても様々な疾患レジストリ事業が行われており、蓄積したデータから個別化医療への発展や将来の新薬開発等への展開が期待される。しかし一方で、多くの疾患レジストリ事業においてデータ登録作業が人手に依存している実態もあり、働き方改革の観点からも電子カルテを中心とする医療情報システムから直接データ登録が行えるような仕組みの構築が急務である。
[システム概要]JASPEHRの活動により、システムベンダーに依存しない形式(HL7 FHIR Questionnaire)でCase Report Formを定義し、さらにその定義を各ベンダーが自社のテンプレート形式に変換して、ユーザインタフェース(以後「UI」)として提供することが可能になった。当院は他の分担機関と共同で、AMED「全ゲノム」の臨床情報収集事業を推進しており、臨床情報の自動収集に関する課題の整理や対応策の検討を行っている。2022年度はJASPEHRベースのシステムを電子カルテの開発系に導入し、テスト患者で作成したデータを多施設データ登録レポジトリ(以後「レポジトリ」)へアップロードした。
[評価]2022年度に評価を行ったシステムは、製品化前のプロトタイプ的なシステムであったため、ユーザとして体感できる「UIの操作性や応答速度」という観点では、改善すべき点が多々感じられたが、レポジトリへのデータ登録についてはスムーズにアップロードすることができた。
[将来展望]UI上での様々なデータ引用等について、2022年度は各社が独自仕様で実装を行ったが、今後の院内におけるデータ活用・情報流通を考えると、日常臨床で使用しているテンプレート等も含めて引用可能にすることを視野に入れたHL7 FHIRに基づく標準仕様化が必要ではないかと考えており、まずは2文書6情報の引用について検討を行っている。