一般社団法人 日本医療情報学会

[3-E-1-03] 難病ゲノム等情報利活用検証事業での臨床情報収集におけるHL7 FHIRの活用について

*星本 弘之1、美代 賢吾1 (1. 国立研究開発法人国立国際医療研究センター)

【はじめに】政府が推進している全ゲノム等解析実行計画2022では、「がん・難病に係る臨床情報と全ゲノム解析の結果等の情報を連携させ搭載する情報基盤の構築」を定めており、我々は難病の臨床情報を収集する基盤の構築を進めているが、難病は厚生労働省指定のものだけでも300疾患以上存在し、それぞれ異なる収集項目をExcelなどで作成した調査票に転記することで情報収集されていた。これについて、効率的な情報収集には電子カルテのテンプレート機能の活用が有効と考えられるが、既存のテンプレートの仕様はベンダー固有であり、複数ベンダーへの対応は多大なコストを要する問題があった。そこで、我々はHL7 FHIR Questionnaireによるベンダー共通のテンプレート定義記述仕様とそれに対応する各ベンダーの電子カルテに統合されたテンプレート機能(JASPEHR)を開発し、難病ゲノムの臨床情報収集に適用したのでその概要について報告する。【システム概要】共通テンプレート定義はHL7 FHIR Questionnaire形式で入力要素(ボタン、テキストボックス等)を記述する。この定義を各ベンダの電子カルテに適用すると、ベンダによらず同一の入力項目と項目IDのフォームが生成され、入力データは共通のQuestionnaireResponse形式出保存される。これにより、多施設多ベンダーでのテンプレート定義開発と配信コストの低減、および、収集されるデータの標準化が実現される。【評価と展望】現時点では、本システムはベンダー間で共通にサポート可能な要素のみに対応しており、ベンダー間で仕様が異なる既存データの引用や動的なテンプレート表示には対応しておらず、使い勝手に影響する可能性がある。そのため、今年度はこれらの拡張仕様の開発と実システムへの展開を予定している。