一般社団法人 日本医療情報学会

[3-E-1-05] 新興・再興感染症データバンク(REBIND)事業の取り組みとJASPEHRへの期待

*石井 雅通1 (1. 国立国際医療研究センター)

新興・再興感染症データバンク事業ナショナル・リポジトリ(REepository of Data and Biospecimen of INfectious Disease:以下、REBINDと呼ぶ)は、新興・再興感染症患者の臨床情報及び臨床検体を収集し、臨床ゲノム統合データベースを構築することにより次の新興・再興感染症への備えとして国内外の各種開発研究を促進することを目的とした感染症法に基づく事業である。
 REBINDでは医療情報収集の新たな取り組みとして、SS-MIX2標準化ストレージ経由での臨床情報取得に加えて、医事会計システムから診療報酬請求情報を同時に収集する基盤を構築してきた。診療報酬請求事務は、国内普及率95%を超えるレセプト電算処理を前提としており、データ形式は標準化、構造化されて、多くの医療機関がデータ提供可能な状況である。検査、手技などの診療イベントのデータ活用が見込まれる。
 現状の課題は、EDCシステムにより入力される症例報告情報の中に、医療情報基盤より収集可能な情報が存在することである。JASPEHRテンプレートの活用により臨床現場の入力負荷の軽減が期待されるが、同時に、JASPEHR で取り扱う大量のリアルワールドデータと症例報告書の求めるデータの粒度の違い、診療プロセスの時系列情報を正確に取得するといった課題をテンプレート運用設計のなかで解決していく必要がある。今後、感染症に関する臨床試験ネットワーク構築が構想されており、データ収集基盤に対して、より高いレベルでのデータ品質やCDISC対応等が求められることが想定される。JASPEHRテンプレートによるデータ収集基盤を発展させることにより、対応していく計画である。