[3-E-1] HL7 FHIR を活用した治験・臨床研究の国内事例とグローバルな取り組み:
JASPEHR Projectによる臨床情報収集事業と、臨床開発におけるHL7 Vulcanのビジョン
Electronic Health Record, Real World Data, FHIR, Vulcan, JASPEHR
電子カルテ由来のリアルワールドデータ(RWD)の活用に注目が集まっている。政府が推進する医療DXにおいても、電子カルテデータの一次利用および二次利用が議論されている。特にゲノム医療においては、ゲノム情報と紐づける臨床情報の取得が重要な課題であり、検体収集後なかば自動的に解析が進むゲノム解析に比べ、人手に頼っている臨床情報の収集の自動化・効率化が求められている。 本セッションでは、まず国内で進められている電子カルテベンダーに依存しない共通のテンプレート記述言語としてFHIR Questionnaireをベースとしたプロファイル(以下、JASPEHRテンプレート)を採用し、電子カルテに入力されたテンプレートデータをFHIR Questionnaire Responseによる標準化された出力を実現する、難病、がんゲノム事業、感染症情報収集事業について説明する。加えて、診療所等でも活用可能な仕組みとして、REDCapもJASPEHRテンプレートへの対応を進めており、現在の開発状況についても紹介する。 次に、グローバルの事例として、HL7 FHIRを推進するためのAcceleratorグループの一つであるHL7 Vulcanについて紹介する。HL7 Vulcanは、2019年9月に政府機関、学術機関、技術企業、標準開発組織、 他のコンソーシアムなどの代表者からなるグループによって設立された。本セッション後半はEHRデータの二次利用に関するユースケースを通じて研究利用に必要なFHIR研究リソースを成熟させるというVulcanの目的・コンセプトについて紹介する。さらに、Vulcan内で行われているプロジェクトを紹介することで、データの相互運用性を通じて臨床と研究を連携するためのHL7 Vulcanのビジョンを共有する。