一般社団法人 日本医療情報学会

[3-E-4-01] ISO IDMPの実装に向けた国際的な取り組みと国内導入における課題

*佐井 君江1 (1. 国立医薬品食品衛生研究所)

ISO IDMP, ICH, pharmacovigilance, RWD

国際標準化機構(ISO)にて開発された医薬品識別(Identification of Medicinal Products:IDMP)のための標準規格(以下、ISO IDMP)は、国際的な医薬品規制及び安全性情報の交換において重要となる医薬品識別のためのデータ項目及び構造を規定した5種類の規格の総称である。現在、欧米を中心に、ISO IDMPの実装に向けた取り組みが進展しており、欧州医薬品庁(EMA)では医薬品ライフサイクルを通した各種規制業務への導入や、欧州連合のリアルワールドにおけるISO IDMP活用に向けたプロジェクトも展開している。米国食品医薬品局(FDA)では、ISO IDMPに準拠した既存のコードシステムの利用や、EMAと共同して、HL7 FHIRによるIDMPの情報交換のためのFHIRリソースの開発にも取り組んでいる。また、FDA、EMA及びWHO Uppsala Monitoring Centre(WHO-UMC)が主体となるGlobal IDMP Working Groupでは、IDMPの国際的な実装に必要なグローバルの製剤識別子のメンテナンスの枠組み構築に向けたプロジェクトが進行中である。医薬品規制調和国際会議(ICH)では、ICH E2B(R3)に準拠した個別症例安全性報告(ICSR)の医薬品情報に、ISO IDMPを利用することに合意していることから、本邦では、ICSRへの利用に向けて、現在、規制当局で、規格の一部(投与経路、剤形)について実装の検討を開始している。一方、医薬品製品(商品)識別子等の具体的な導入方針は、今後の検討課題とされており、特に既存の種々の医薬品コードの相互運用や管理方法を含めた議論が必要である。本シンポジウムでは、ISO IDMPの実装に向けた国際的な取り組みについて概説し、また本邦における実装上の課題や導入の在り方について考察する。