[3-E-4-03] 医薬品規制・臨床研究の観点から
ICH, ICSR, ISO, MedDRA, HL7
医薬品の規制については、国際的なハーモナイズが必要であるとして、1990年に発足した「医薬品規制調和国際会議」であるICHが大きな役割を果たしてきた。このICHの成果として治験は国際ルールであるGCPに則って実施され、副作用報告はE2B(R3)としてまとめられたICSRのガイダンスに従い、国内外にて電子的に報告され、またMedDRAを用いて有害事象などをコード化することになっている。E2B(R3)のICSRはHL7のV3を用いており、以前のE2B(R2)は2000年にSGML形式で作成する仕様であったものを10年以上かけて国際的な標準化団体を巻き込んでまとめられた、さらにICHにおいてかつてM5というグループも設立され、医薬品コードも標準化する試みがなされたたが、途中で中止となっている。これは国内で利用される医薬品コードも様々であるが、さらに国際的に標準化となると一層困難であることを示している。一方、臨床研究分野に限定すると国際的にはCDISCの活用が進み、国内でも新薬申請についてはCDISCの標準群と医薬品コードはCDISCがControlled Terminologyとして指定しているWHODrugを用いることになっている。さらに国内外では臨床研究の活性化のためにRWDの活用も求められるようになっている。しかしRWDが蓄積される医療現場でMedDRAやWHODrugはあまり利用されていない。臨床研究である医薬品の開発から製造販売後の安全性の監視も含め、広く医薬品のライフサイクルマネジメントを考えると、医薬品や医療用語の標準化が求められるが、現状のギャップをまずしっかり認識した上で、解決可能なアプローチについて検討していくことが必要と思われる。