一般社団法人 日本医療情報学会

[3-E-4-04] 医薬品に関する情報の標準化と電子処方箋~一次利用の側面から~

*池田 和之1 (1. 奈良県立医科大学附属病院)

Standardisation, drugs, dosage, electronic prescriptions

日本では、2023年1月から電子処方箋管理サービスが全国で展開されている。この電子処方箋管理サービスは、全国の医療機関と薬局をつなぎ処方箋の情報を送受する仕組みであり、電子的な情報の送受には医薬品や用法などの情報の標準化が欠かせない。一方、昨今の医薬品流通の課題として、コロナ禍での特定の医薬品の使用量増大や後発医薬品の不適切な製造に端を発した医薬品の供給不足、さらに医薬品製造のグローバル化による原材料を含めた供給不足などから今までにない医薬品の供給不安を抱えている。
 処方箋の電子化について海外に目を向けると、北欧では早い段階から処方情報の電子化が行われ、エストニア、スウェーデンなどの国々では原則として電子処方箋の発行が義務付けられている。さらにEUでは域内の国民の健康データの可能性を最大限に引き出すために、欧州委員会において欧州健康データスペース(European Health Data Space:EHDS)が設置されている。これによりEU 諸国で安全かつ効率的かつ相互運用可能な方法で健康データを交換できるように進められている。さらにEUの国民は、「MyHealth @ EU」と呼ばれるサイトを通じてこれらサービス受けることが可能になっている。これらを実践する形で、エストニアやスウェーデンでは国境を越えた電子的な処方箋のやり取りが既に始まっている。
 このように物や人がグローバルに行き交う世界では、効率的な情報の交換も必要となる。医薬品や処方箋の情報においても、海外の状況を踏まえ考える必要があるのではないだろうか。今回のシンポジウムでは最近の医薬品に関する課題をふまえ、本邦での電子処方箋の課題や海外での状況などをもとに一次利用における標準化について考えたい。