[3-E-4-05] 国際的な観察研究ネットワークで用いられる用語とその管理について
OHDSI, OMOP CDM, Observational study
OHDSIは、OMOP CDMという共通データモデルを用いた医療ビッグデータ分析を推進するオープンサイエンスコミュニティである。OMOP CDMは米国より開始となったプロジェクトが前身であるが、現在は日本、オーストラリア、欧州、中国、韓国、シンガポール、台湾、インドなど世界的に利用されている。OMOPで分析を行う際の特徴の一つとして用語の統一がある。OHDSIではデータを共有して分析を行う際の一貫性と相互運用性を確保するために標準用語の使用を重視している。OHDSIで利用される標準用語はコミュニティで定義されているものであり、疾患、手術、薬剤、検査などが含まれる。例としてはSNOMED CT: 臨床用語、疾患や症状、手術、検査などの用語、 RxNorm: 医薬品の名称、成分、製剤などに関する用語、LOINC: 医療検査や観察データに関する用語、などが挙げられる。OHDSIコミュニティでは用語の整合性を維持するため、新しい用語の追加や既存用語の変更に関して慎重に検討を行っている。また、非標準用語への対応として、データソースごとに異なる用語がある場合についても何らかの対応を行っている。OHDSIの用語の管理にはコミュニティの力が重要である。研究者、データサイエンティスト、医療専門家など、異なる専門性を持つメンバーがお互いに協力しながら、用語の整合性と品質を維持するために共同作業を行っている。本発表では、OHDSIでの標準および非標準用語の管理体系を紹介する。また、標準用語がOMOPでの分析にどのように関わってくるのかについて紹介するとともに本邦における分析においてどのように活用できるのか、どのような課題が存在するのかについて考察する。