一般社団法人 日本医療情報学会

[3-F-1-03] セキュリティ対策を考慮したオンプレミスWebカンファレンスシステムの運用と課題

*松田 浩幸1,2、安徳 恭彰2、松下 航1、髙尾 薫平1、秦 暢宏1、藤木 稔1、下村 剛2,3 (1. 大分大学 医学部 脳神経外科, 2. 大分大学 医学部附属病院 医療情報部, 3. 大分大学 医学部 ヘルスケアAI・データサイエンス学講座)

web conference, on-premises, VPN connection

コロナ禍でWebカンファレンスの需要が生じたことから急速に各種サービスが発達したが、その多くはクラウド型のサービスである。医療カンファレンスにおいてはプライバシー保護・セキュリティ対策がより高い次元で求められるが、クラウド型のサービスにおいては、通信経路が利用側で把握できなかったり、サーバーが国外に設置されるようなケースでは設置地域の法令等により通信の秘密が担保されないケースまで想定しなくてはならず、医療場面での利用には依然課題があった。
当院では、それらの問題に対処するべくオンプレミス型Webカンファレンスシステムを導入し運用しているが、その実際と課題について検討を行った。
システム概要としては、院内にサーバーを設置し、院内での利用者は学術系の学内LAN経由でシステムにアクセスする。アクセスするPCにビデオキャプチャーを用いて電子カルテ画面を共有することで、電子カルテ情報や診断画像を共有してのカンファレンスが可能となっている。学外からの利用者は、あらかじめセキュリティ証明書を発行した器機と、学内LANの統合認証システムIDを利用してインターネット回線から学内LANへVPN接続してWeb会議システムへアクセスする。学外からも画面共有可能であるため、外部施設の電子カルテ画面を表示してのカンファレンスも実施できる。
実際に脳神経外科の臨床カンファレンスや、てんかん診療チームの多科・他施設合同カンファレンスなどで運用しており、遠隔地の施設からの参加負担軽減などのメリットが得られている。
課題としては、接続等の操作がやや煩雑であること、証明書発行などの事前準備が必要のため直前の参加希望には対応できないこと等が挙げられる。
コロナ禍収束後も働き方改革の必要性などからこういったツールの重要性は増して行くと考えられ、より安全・便利なシステムの運用を目指していく必要がある。