一般社団法人 日本医療情報学会

[3-F-4] 携帯電話関連技術を用いた感染症対策に関する包括的検討

*藤田 卓仙1,2、奥村 貴史3、尾藤 誠司4、緒方 健5、溝端 俊介6、佐藤 大介7、米村 滋人5 (1. 慶應義塾大学、2. 神奈川県立保健福祉大学、3. 北見工業大学、4. 国立病院機構 東京医療センター、5. 東京大学、6. TMI総合法律事務所、7. 藤田医科大学)

Infectious Disease Control, COVID-19, Privacy, ELSI, Digital Contact Tracing Apps

COVID-19感染拡大への対策として、携帯電話を用いた位置情報や行動履歴、接触情報などのデータを収集・解析する手法は、国際的にも注目され、様々なものが実装された。 日本においては、接触確認アプリCOCOAが用いられたが、必ずしもCOVID-19対策として十分な効果はなかった。その理由の一つとして、プライバシー等の懸念に基づき、(特に同意に基づかない)データ利用に対して慎重になったことがあった。国際的にも、携帯電話関連技術の感染症対策目的での利用に関しては議論があり、その十分なポテンシャルを活かしきれなかった面がある。しかし、携帯電話関連技術に関しては、ロックダウンのような強度の行動制限等を実施することと比べて、緩やかな手段で一定の感染対策効果が期待できたり、(プライバシー保護技術等を用いて)保健所等において有益な情報を得たり、現場の負担を軽減したり、そもそもの感染症発生の情報収集の起点になったりと様々な可能性を持つものである。 COVID-19に関しては5月にはWHOからも緊急事態宣言の終了が発表されたが、感染症は定期的に発生・拡大する。
本ワークショップでは、今回のCOVID-19対策を踏まえ、今後の感染症対策において携帯電話関連技術を用いるに当たっての、望ましいデータ利用とプライバシーや人権保護のあり方について、情報工学やELSIの観点を含めて多角的・学際的に検討してきたJST RInCA研究開発プロジェクト(2020-)「携帯電話関連技術を用いた感染症対策に関する包括的検討」(代表:米村滋人)における研究成果を報告する(研究班メンバー4名各15分報告)とともに、会場とのディスカッション(30分)を行う。
本ワークショップは、JST RISTEXによるグラントJPMJRX20J5の一環として実施する。