一般社団法人 日本医療情報学会

[3-G-1-02] 診断群分類別包括評価制度における入院期間Ⅱ超過症例での原因因子の分析

*金子 龍一郎1、中村 敦2、小林 大士3、高島 大記3、加藤 真嗣1、齊藤 岳児4 (1. 浜松医科大学医学部附属病院 病院経営支援課, 2. 医療データ分析ラボ, 3. 株式会社JMDC, 4. 浜松医科大学 次世代創造医工情報教育センター)

DPC/PCPS, decreased amount, correlational analysis, observation variable, latent variable

【目的】診断群分類別包括評価制度(以下、DPC/PDPSとする)では診断群分類毎に入院期間Ⅰ~Ⅲの3段階の1日当たりの包括点数が設定されている。入院期間Ⅱの終了日までは一入院期間での1日当たり医療資源の平均投入量が保障される設定となっているが、入院期間Ⅲ以降では平均投入量以下に減額されている。この入院期間Ⅱ超えの回避を目的とし、在院日数延長に影響を及ぼす原因因子を明確する分析を行った。
【方法】DPC提出データに基づき、浜松医科大学医学部附属病院の2020年以降のDPC/PDPSの入院症例と株式会社JMDC提供の全国の500床以上の病院の入院症例間で、症例群毎に超過在院日数など6つの観測変数と併存症数など36の潜在変数による相関分析を行った。この分析時の症例群分類は、主要診断群(MDC)、診断群分類(DPCコード14桁)、傷病名(DPCコード6桁)、傷病名+手術有無などを行った。分析結果は散布図と相関係数表に表した。
【結果と考察】主要診断群を症例群とした分析では、同じ主要診断群内の症例でも在院日数のバラツキが大きく、相関係数分析でも有効な結果が得られなかった。これとは逆に診断群分類を症例群とした分析では「敗血症」や「急性白血病」などの症例で入院時の潜在係数の中に非常に強い相関が見られた。また傷病名、傷病名+手術有無を症例群とした分析でも一部の潜在因子で強い相関が見られた。このことから症例群の分類が詳細なほど多くの潜在因子で強い相関が見られるが、その因子への対応による在院日数短縮の効果の対象となる症例数が少ないため、効果の効率性自体はやや低いと考えられる。
【結語】今回はDPC提出データに限定した分析であったが、今後は入院時の血液検査の結果も踏まえた分析を行うこととしており、これにより、在院日数に影響を及ぼす潜在因子がより明確になり、対応効果の効率性の向上が期待できると思われる。