Japan Association for Medical Informatics

[3-G-1-04] NDBオープンデータを用いた、算定されていない医療技術抽出の試み

*Tomoya Myojin1, Koji Ono2, Harumi Tagoku3, Tomoaki Imamura1 (1. 奈良県立医科大学 公衆衛生学, 2. 東京医療保健大学 東が丘看護学部/大学院看護学研究科, 3. 中央大学大学院 戦略経営研究科)

Health Insurance Claims, NDB Open Data, Medical treatment, Reevaluate

【背景】厚生労働省は、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)に格納された情報から、汎用性の高い基礎的な集計表をNDBオープンデータとして公表している。これまでにNDBオープンデータを用いて、処方薬の推移や手術件数の年齢分布などを分析した研究成果が多数報告されている。NDBオープンデータでは患者の匿名性担保のため、原則算定件数が1件以上9件未満はハイフンでマスキングされ、算定件数0件は表示されていない。本研究では、NDBオープンデータから、「算定されていない」または「算定件数が著しく低い」診療行為を抽出することで、NDBオープンデータの新たな分析方法を試みた。なお、本研究は患者の特定を試行したものでない。
【方法】社会保険診療報酬支払基金が定期公表した診療行為マスタと第2回~7回のNDBオープンデータ用い、1年間の算定件数が0件と1~9件の診療行為を抽出した。
【結果】令和2年1月時点の診療行為マスタと第6回NDBオープンデータ(平成31年4月~令和2年3月診療分)を比較し、算定件数0件の診療行為は6088件中238項目であった。このうち最多は区分K(手術)で2738件中125項目であった。区分ごとの算定件数0件の割合が最高だったのはE(画像診断)で227件中26項目であった。
【考察】これらの項目は①保険収載直後で普及していないもの、②医療技術が古くて算定していないもの、③技術的に算定する可能性はあるがまれなもの、の大きく3つに分けられると思案した。例えば、区分C(在宅医療)の海路(波浪)加算は、昭和39年に医療機関のない島に対して海路による往診があった場合に新設されたもので、②または③と考えられた。区分D(検査)の遺伝学的検査(プロファイル、検討・説明料)は①と考えられた。鉄の肺は②と考えたが、第2回と第5回ではそれぞれ1-9件算定されていた。