一般社団法人 日本医療情報学会

[3-G-1-06] 訪問看護サービスの空間的アクセシビリティに関する探索的研究

*大橋 和貴1、金 絢加2,3、佐藤 三穂1、鷲見 尚己1、谷川 琢海4,1、小笠原 克彦1 (1. 北海道大学大学院 保健科学研究院, 2. 北海道大学大学院 保健科学院, 3. 北海道大学病院, 4. 北海道科学大学 保健医療学部)

Home nursing, Spatial accessibility, Two-step floating catchment area method, Home health agencies

【背景】北海道における訪問看護サービス利用者は15612人(2014年4月)~29923人(2022年4月)と増加しており、介護保険における主要な居宅系サービスの1つである。一方、訪問看護事業所は都市部に多く、訪問看護サービスの利用における地域差の解消が課題であるが、その評価指標は確立していない。そこで、本研究は訪問看護の空間的なアクセス性を測定し、妥当性を検討した。【方法】本研究は、北海道の156市町村を対象とした横断研究である。初めにtwo step floating catchment area法を用いて市町村別にアクセス指標(Population weight spatial accessibility index: PWSAI)を算出した。この時、訪問看護サービスの提供範囲は自動車で110分以内とした。次に訪問看護サービス利用者数を目的変数、PWSAIを含む在宅医療資源指標を説明変数とし、市町村間の人口規模を調整するためのオフセット項を加えた一般化線形モデルおよび条件付き自己回帰モデルを用いて、訪問看護サービス利用者数との関連を分析した。【結果】PWSAIは中央値9.0、四分位範囲6.2-11.8であった。PWSAIが高いこと(exp(β)=1.055、95%信用区間(95%Cr)=1.022~1.096)、65歳以上人口1万人あたりの24時間対応訪問看護師数が多いこと(exp(β)=1.016、95%Cr =1.003~1.030)は、訪問看護サービス利用者数と正の関連を認めた。【考察・結論】PWSAI、65歳以上人口1万人あたりの24時間対応訪問看護師数は訪問看護サービスの利用において重要な因子であった。中でも、PWSAIは訪問看護事業所が存在しない市町村のアクセス性を評価できる指標の1つといえる。本研究は横断研究であり、因果関係の推定には縦断的な分析が必要である。