Japan Association for Medical Informatics

[3-G-1-07] 将来人口推計に基づく受療人口重心の変移に伴う構想区域内の急性期病院再編の最適化の検討

*Atsushi Nakamura1,2 (1. 医療データ分析ラボ, 2. 株式会社サンネット)

Population Projection, Advanced medical device, Center of population receiving medical treatment, GIS

【目的】山口県下関医療圏には急性期医療を担う4つの公立・公的病院があるが、少子高齢化が全国に10年先行し、医療需要の増大・医師の高齢化・若手医師の減少も進行している。このような背景で地域医療構想調整会議からは、2017年と2023年に中間報告が示されており、2017年報告では「高度急性期・急性期に特化した病床数500床以上の規模の基幹病院が複数あること」であったが、2023年報告では「2病院を統合して3病院体制に移行」となっている。今回、この変更を踏まえ、将来人口推計に伴う住民分布の変化も考慮し、高度急性期・急性期病床の分布、高度医療機器の分布、統合後の病院位置などを中心に、将来的に医療供給体制の最適化が図れることを目指した分析を行った。
【方法】病床機能報告による新入院患者数、高度医療機器設置数や医療機能情報提供制度で報告される外来患者数や高度医療機器検査件数などの医療機関毎のデータを活用し、下関医療圏内での分布状況等を重心分析等により把握し、医療機関での受療の可能性がある住民分布のバランス点である受療人口重心との距離と方位の比較分析を行った。また統合後の新病院の位置を想定したシミュレーションを行い、それぞれの状況を比較検討した。
【結果と考察】既存の病院の機能的病床数の変更だけではなく、統合後の新病院の位置や規模を変更することで、現在よりも受療人口重心との距離が縮小(=受療患者の利便性が向上)でき、最適化できることが判った。これとは別に、将来人口推計による受療人口重心の位置変化がほぼないことから現状での病院の再編計画が将来的にも有効であると考えられる。
【結語】今回は入院患者の全体数だけで疾患単位の患者数を考慮していないことから、今後は疾患構成等も踏まえたより実情に近いシミュレーション等を行うことで、地域医療構想の実現により有効な資料の提供できることを目指している。