[3-G-4-03] 秘密計算AIを用いた希少疾患診断支援AIの開発
Secure Multiparty Computation, AI, Rare Disease
【目的】希少疾患は治療薬の開発が進む一方で、一般医では診断が難しいため、早期診断を目的としたAI診断支援が求められている。ただし、希少疾患は単施設では十分なデータ収集が困難であり、有用なAIモデルの構築が困難である。また、特定の条件下で個人の特定につながる可能性があるため、高レベルなセキュリティ実装が必要となる。本研究では、希少疾患を早期に診断することを目的とし、方式として秘密計算AIを活用し、希少疾患診断AIの開発を行う。【方法】千葉大学病院で神経伝導検査を実施した患者データベースから、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー100例、ギラン・バレー症候群およびミラーフィッシャー症候群100例、シャルコー・マリー・トゥース病30例、抗MAG抗体関連ニューロパチー20例、POEMS症候群50例、アミロイドーシス22例、その他末梢神経疾患102例を抽出した。当該症例の初診時または初回入院時の神経診察所見を収集し、神経学的検査チャートを参考に作成したシートに入力した。症例数が少ないことを考慮し、本AIモデルで取り扱う際は医学的知見に基づき前処理を行うものとする。データの比率は学習用70%、パラメータチューニング用15%、評価用15%とした。評価手順はそれぞれのデータセットを用いて①パラメータチューニング②学習③評価の順で実施した。評価対象としては平文AI、秘密計算AIとし、ハイパーパラメータは制約条件が多い秘密計算AIをベースにパラメータチューニングを実施する。【結果】評価対象に限らず70%前後の正解率となった。また、各疾患別の評価精度としては症例数が多い疾患は精度が高く、少ない疾患、特に30症例以下の疾患においてはは精度が低い傾向であった。【結論】現在、希少疾患の診断支援AIモデルを開発中である。今後はデータ量の不足を補うため、多施設から症例を登録し、モデルの改良を進める。