Japan Association for Medical Informatics

[3-G-4-04] 臨床現場への医用AI導入のための臨床意思決定支援システム(CDSS)・AI連携システムのアップデートと今後の展望

*Masahiko Nakatsui1,2, Yasushi Hirano2, Takeshi Abe1,2, Kazuki Hamada1, Hideki Arima2, Kimiko Toyota2, Kyoji Kouda3, Yoshiyuki Nishinaka4, Haku Ishida1,2, Yoshiyuki Asai1,2 (1. 山口大学大学院医学系研究科, 2. 山口大学医学部附属病院, 3. 防府消化器病センター, 4. インタセクト・コミュニケーションズ株式会社)

Artificial Intelligence, Clinical Decision Support System, Integrative Framework

人工知能技術の飛躍的な発展や膨大な医療情報の蓄積を背景に、医療の高精度化・効率化を目指し、様々な医用AIの開発が進められている。その臨床現場での活用には、電子カルテシステムや臨床意思決定支援システム(Clinical Decision Support System, CDSS)などの医療情報システムとの連携が不可欠である。また、臨床現場の多様なニーズやユースケースに応じ、使用するデータの種別や実行タイミングなどが異なる医用AIが想定され、医用AIの臨床現場への迅速な展開には、それらを統一的な手順で導入できることも重要である。山口大学医学部附属病院では、CDSS-AI連携システムのプロトタイプを構築し、2022年8月より、有害反応の疑いがある場合に過去の副作用発生情報に基づきその原因薬を予測するAIを題材としてテスト運用を開始した。プロトタイプの構築・運用によって得られた知見をもとに、連携システムの改善を行うとともに、多岐にわたる医用AIと医療情報システムとを連携できる汎用的な連携システムを構築してきた。 本システムでは、CDSSより、特定イベント発生やバッチ処理などの判断ロジックに基づくAI実行要求があり、それを専用のAIサーバで処理し、予測結果を返却して医療情報システムの画面上へ表示する。AI実行に必要な患者情報は二次利用DBから取得し、医療情報システムへの負荷による影響を避ける。テスト運用から得られた課題(技術的な不具合や、医療情報システムから二次利用DBへ患者情報が反映されるまでのタイムラグに起因する不具合など)へ対応するとともに、今後の複数の医療AI導入へ向け、必要な計算機リソースを低減するなどの改修を行った。本報告では、CDSS-AI連携システムの実装・改修、および本院における医用AIの臨床現場への導入に向けた試行状況をアップデートし、将来の展望について報告する。