Japan Association for Medical Informatics

[3-G-4-05] ePROモバイルアプリケーションを用いた同種造血幹細胞移植合併症の早期探知の検討

*Soichiro Nakako1,2, Hiroshi Okamura1,2, Akinori Nishikawa3, Yosuke Makuuchi1,2, Yukari Umemoto2, Yuji Kawabata4, Munehisa Kumagai4, Ichiro Itofuji4, Yuki Ohmata2, Maki Nishikawa2, Ryo Takaki3, Kayako Ueda3, Mirei Horiuchi1,2, Kazuki Sakatoku1,2, Kentaro Ido1,2, Masatomo Kuno1,2, Teruhito Takakuwa1,2, Mitsutaka Nishimoto1,2, Yasuhiro Nakashima1,2, Hideo Koh1, Mika Nakamae1,2, Masayuki Hino1,2, Hirohisa Nakamae1,2 (1. 大阪公立大学 大学院医学研究科, 2. 大阪公立大学 医学部附属病院, 3. 和歌山県立医科大学病院, 4. 株式会社 インテック)

electronic Patient Reported Outcome, Clinical Decision Support System, mobile application, allogeneic stem cell transplantation, early prediction

【目的】同種造血幹細胞移植(以下、移植)後の合併症は時に致命的となり早期治療介入が重要である。我々は、移植後外来フォロー患者の身体情報、電子患者報告アウトカム(ePRO)を収集するアプリケーション(HCTアプリ)を開発し、その忍容性と移植後重症合併症の早期発症予測因子を検討した。
【方法】大阪公立大学と和歌山県立医科大学における移植後外来フォロー患者を対象とする前向き観察研究を行った。年齢、体温、SpO2、脈拍、体重、36種類のePRO項目をHCTアプリから連日収集し、データ入力時点から1週間以内の緊急合併症入院に対する予測因子をlasso回帰モデルで抽出した。欠損値は直近の値で補完した。また、アンケート調査を行いHCTアプリの有用性や課題について検討した。
【結果】 研究登録患者数は99例(52%:女性、延べ124例)、登録時年齢中央値(範囲)は52歳(21-72)、移植日から研究登録日までの期間中央値(範囲)は740日(41-2,540)、登録日からのフォローアップ期間中央値(範囲)は137日(0-478)であった。100日入力順守率は78%であった。緊急合併症入院は17例であった。緊急合併症入院の早期予測因子として、年齢、Baselineからの体温変化率・修正Leeスコア変化量、脈拍数の傾き、体重の傾き、修正Leeスコアの傾きが抽出された。また、lasso回帰モデルのAUCは0.73であった。アンケート調査では6割の患者が自身の健康意識に対して効果的であったと回答し、日々の行動の変化につながったという意見も得られた。
【結論】 HCTアプリは一定程度の順守率が保持され、健康意識の改善に寄与する回答が得られた。また、HCTアプリによる移植後重症合併症の早期予測因子が明らかとなった。今後、アプリの機能改善及び早期治療介入のための移植後重症合併症予測モデルの構築と評価が求められる。