Japan Association for Medical Informatics

[3-G-4-07] 院内救急対応システムにおける自動算出早期警告スコアの有用性 
-臨床現場スタッフが急変患者を効率かつ迅速に認知する方法-

*KOUJI OKUDA1, Osamu Hamada1, Kyoko Hayashida1, Takanori Oka1 (1. 社会医療法人愛仁会 高槻病院)

Rapid Response System(RRS), DWH, National Early Warning Score(NEWS), Automated Early Warning Scoring System

背景
院内救急対応システム(Rapid Response System:RRS)は、入院患者の予期せぬ死亡を防ぐ国際標準的なシステムとなっており、日本でも導入が進んでいる。RRSのコンセプトは徐々に浸透しているが、日本におけるRRS起動率の低さが報告されている。自動算出早期警告スコア(EWS)の有用性がその解決策として期待されている。
目的
電子カルテからEWSに必要な情報を手作業で収集し、スコア化するには多くの時間を要する。そこで、我々はEWSを自動算出するシステムを構築した。EWSと手作業で算出した場合とで比較し、当院でのEWSの有用性を検討した。
方法
Microsoft Accessを利用し、データウェアハウス(DWH)のデータベースからSQLを用いてリアルタイムでEWSに必要なデータを抽出した。EWSは国内でも有用性が検証されているNational Early Warning Score(NEWS)を用いた。各バイタルサインの入力された時間のずれを考慮し、前後30分以内のデータをEWS算出に用いた。
結果
EWSを手作業で算出した場合、一回の算出に約16時間を要すると推定された。自動算出EWSシステムでは約3分と時間が短縮された。
考察
自動算出EWSを利用することで、手作業でEWSを算出した場合と比較し、効率よく迅速に高リスク患者を把握することができた。各バイタルサインや症状でのRRSの起動と、EWSでのRRS起動のどちらが優れているかは明らかでないが、EWSは入院患者の多層的なリスク層別化に役立つ可能性が報告されている。自動算出EWSシステムを用いることで、高リスク患者の把握に要する時間が大幅に短縮されたため、患者の診療やRRS起動率向上につなげられる可能性が示唆された。
結語
RRSで院内死亡率を低下させるためには、EWSを用いることで病院におけるRRS起動率向上の道を開く可能性がある。