一般社団法人 日本医療情報学会

[3-H-1-02] NDB を用いた患者調査各項目の再現の検討

*加藤 源太1、田村 寛2、植嶋 大晃2、森 由希子1、平木 秀輔3、酒井 未知4、大寺 祥佑5、野田 龍也6、児玉 知子7、佐藤 大介8、奥村 泰之9 (1. 京都大学医学部附属病院, 2. 京都大学国際高等教育院附属データ科学イノベーション教育研究センター, 3. 田附興風会医学研究所北野病院, 4. 立命館大学総合科学技術研究機構, 5. 国立長寿医療研究センター, 6. 奈良県立医科大学医学部, 7. 国立保健医療科学院, 8. 藤田医科大学大学院医学研究科, 9. 一般社団法人臨床疫学研究推進機構)

Patient Survey, NDB, Core Statistics

【目的】患者調査は、患者の傷病の状況等を明らかにする統計調査であるが、元データをNDBで代替できれば、調査頻度の向上や調査項目の拡充等に繋がる可能性がある。本研究は、患者調査の項目をNDB データの集計で代替可能かどうかを検証することを目的とする。【方法】厚生労働科学研究の一環として2017年より研究を開始し、その時点の最新の2014年度調査に合わせ、2014年度医科、DPCのNDBを審査を経て悉皆的に入手し、患者調査の項目を出来る限り再現し、患者調査の数値と比較した。【結果】患者調査の項目「推計患者数(入院、外来)」「入院(新入院、繰越入院)」「外来(初診、再来、往診)」「施設(病院、一般診療所)」「傷病分類別」「推計退院患者数」「退院患者平均在院日数」「傷病小分類別」「病床の種類」「傷病中分類別」「転帰」「手術の有無、手術名別」についてNDBにて集計を行い、「患者調査/NDB比」を求め、患者調査結果との一致度、乖離度を評価した。その他項目はNDBが有する情報の制約により再現が不可能か、或いは今回集計に至ることが出来なかった。尚、2022年よりNDBにも患者住所地情報が入り、今後は再現可能となる項目が増える可能性がある。「患者調査/NDB比」の一例として上巻第9表の「傷病分類」を例にとると、全患者の「患者調査/NDB比」は1.17となったが、傷病分類別では1.17の±10%、即ち1.053~1.287に収まった傷病分類は「Ⅱ新生物(1.22)、 呼吸器系の疾患(1.08)、ⅩⅢ筋骨格系及び結合組織の疾患(1.18)、ⅩⅣ腎尿路生殖器系の疾患(1.11)」に限られるなど、患者調査と結果が乖離する傷病分類がみられた。【結論】患者調査の一部にはNDB の集計結果との類似性を指摘し得る項目もみられたが、乖離する項目や再現不可能な項目が少なくなく、NDBによる代替は困難と考えられた。