Japan Association for Medical Informatics

[3-H-1-03] 特定健診データを用いたロジスティック回帰分析による 2型糖尿病リスク因子の抽出

*Ryota Konno1, Ryuichiro Ueda2, Teppei Suzuki2,3, Wataru Nagai4, Takeshi Aoyama3, Hisashi Enomoto4, Shuntaro Nakata4, Katsuhiko Ogasawara2 (1. 北海道大学大学院保健科学院, 2. 北海道大学大学院保健科学研究院, 3. 北海道教育大学岩見沢校芸術・スポーツビジネス専攻, 4. 岩見沢市健康福祉部健康づくり推進課)

Type 2 Diabetes, Logistic Regression, Health Checkups

【背景・目的】日本の糖尿病患者のうち約9割を占める2型糖尿病は、遺伝的な影響に加えて生活習慣による環境的な影響により発症し、加齢によりその割合も増加する。さらに、三大合併症を含む多くの合併症を引き起こし、特に糖尿病腎症は医療費のかかる人工透析を必要とする原因ともなる。よって、2型糖尿病の予防・早期発見は医療費抑制・重症化予防のうえで重要である。また、健康診断は個人がこれから罹患する危険性のある病気を予測できる可能性がある非常に有用なデータである。そこで、本研究では2型糖尿病発症に関して、特定健診データによるリスク因子の抽出に加え、年齢層により異なるリスク因子の抽出を目的とした。
【方法】本研究では、北海道岩見沢市健康福祉部健康づくり推進課より提供された、国民健康保険と後期高齢者医療保険それぞれの特定健診データ、医療レセプトデータを用いた。特に、2017年度または2018年度の特定健診データと2019年度の医療レセプトデータを結合することで分析を行った。分析手法はロジスティック回帰分析を使用し、目的変数を2型糖尿病診断の有無、説明変数を性別、BMI、腹囲、運動習慣や食事習慣などに関する質問が含まれる特定健診の質問票項目として、予測を行った。
【結果・考察】対象として抽出された2型糖尿病患者は国民健康保険で285人、後期高齢者医療保険で124人であった。分析を行った結果、国民健康保険では歩行速度の項目が偏回帰係数0.16、オッズ比0.73、後期高齢者医療保険では夜の間食の項目が偏回帰係数0.55、オッズ比0.33となり、それぞれで異なる重要なリスク因子として抽出された。この結果から、健診データとレセプトデータを組み合わせて活用することで、質問票のような医療介入前データによる2型糖尿病発症リスク因子の抽出可能性や、年齢層により異なるリスク因子が存在する可能性が示された。