Japan Association for Medical Informatics

[3-H-1-04] 電子カルテデータベースを用いた炎症性腸疾患における薬物治療抵抗性に係る情報抽出手法及び精度評価

*Nobuya Yamashita1, Wataru Morozumi1, Yoshiyuki Hasegawa2, Daisuke Abe2, Yoshinobu Izawa2 (1. 小野薬品工業株式会社, 2. 株式会社NTTデータ)

Electronic Health Records, Unstructured data, Inflammatory Bowel Disease, Drug Resistance

【背景】電子カルテデータベース(Electronic Health Record: EHR)への期待は大きく、レセプトでは取得できない実臨床下での臨床アウトカムデータ抽出への期待は大きい。しかしながら、これらのデータの多くは非構造化データとして存在しており、抽出の方法論が確立されていない現状がある。本研究では EHRから抽出した患者を対象に、薬物の治療抵抗性に着目し、情報抽出の方法論及び精度評価を検討した。【方法】一般社団法人ライフデータイニシアティブの千年カルテデータベースに登録されている炎症性腸疾患(以下、IBD)患者866名のうち、患者データの経過記録などから生物学的製剤やJAK阻害剤等の投与履歴が確認された210名を対象に、薬物の治療抵抗性の有無について目視確認を実施した。さらに形態素解析を行い、薬物治療抵抗性に関わるキーワードの抽出を行った。抽出したキーワードの精度を感度、特異度、適合率で評価を行い、IBD患者における薬物治療抵抗性の有無を判定する際の有用なキーワードを探索した。【結果】 IBDの薬物治療抵抗性と関連があると思われるキーワードは「改善+ない」(感度67.6% 特異度65.9% 適合率51.5%)、「絶食」(感度68.9% 特異度55.8% 適合率45.5%)、「出血」(感度59.5% 特異度60.9% 適合率44.9%)、「疼痛」(感度62.2% 特異度58.7% 適合率44.7%)であった。【考察】本研究によりIBDにおける薬物治療抵抗性を特徴づけるキーワードが抽出された。今後の研究としてAI(Artificial Intelligence)を用いたIBD薬物治療抵抗判定モデルの作成につなげていきたい。