一般社団法人 日本医療情報学会

[3-H-1-05] 臨床における判断・評価結果の情報入力を支援する技術-電子カルテにおけるテンプレートに関する検討-

*松本 聡子1、国松 加奈子1、秋山 剛1 (1. NTT東日本関東病院)

Electronic Medical Records, Quality Indicator, Medical Informatics

【背景】電子カルテをはじめとする医療情報システム(以下、HIS)のデータの二次利用という観点から考えると、多くの構造化データがHISに蓄積されることが望ましい。診療情報を構造化するためのツールとしてテンプレートがしばしば用いられるが、臨床職員の情報入力負担が比較的大きいという問題がある。

【目的】臨床指標(以下、QI)のために二次利用した電子カルテデータのうち、テンプレートを用いて入力されたデータについて整理・分類し、臨床職員の情報入力負担軽減方法について検討する。

【方法】NTT 東日本関東病院において演者が2023 年 5 月時点で過去4回以上継続して算出した QI に使用しているデータのうち、テンプレートに関するものについて、「事実に関する内容(例:使用された薬剤名)か、ヒトが下した評価・判断に関する内容か」の観点から分類し、提示する。

【結果】テンプレートに入力された情報を使用する当院にて定めたQI23種のために、23種のテンプレートからデータを抽出していた(計73項目)。内、8種のテンプレートについては、ヒトの評価・判断に関する項目が抽出対象に含まれていた(計45項目)。抽出対象に含まれていない項目も含めると、21種のテンプレートの中に事実に関する項目と評価・判断に関する項目の双方が含まれていた。評価・判断の根拠として事実に関する項目が列挙されている場合もあれば、カルテ記載すべき内容を列挙する一環で評価・判断と事実に関する項目が含まれている場合もあった。

【考察】「評価・判断」に関しては評価・判断のために臨床職員が使用する「事実」を電子カルテ内から情報収集することを可能とする技術(例:医療AI)等、「事実」に関してはバーコードやセンシング技術の活用および電子カルテ内の情報連携(例:既に別の場所に登録されている薬剤オーダー情報を連携)等が、情報入力負担軽減に寄与する可能性がある。