一般社団法人 日本医療情報学会

[3-H-1-06] ICD10全分類を対象としたCOPD発症に関与する因子の探索

*山本 美愛1、檜山 麻里子2、兵頭 勇己2、奥原 義保2、畠山 豊2 (1. 高知大学 医学部医学科 先端医療学コース, 2. 高知大学 医学部 附属医学情報センター)

COPD, risk factor, data mining, ICD10

背景・目的
COPDは喫煙者に多く見られる慢性呼吸器疾患であり、我が国では約530万人の患者が存在すると推定され、死亡原因の9位、男性では7位を占めている。COPDの最大の原因が喫煙であることは良く知られているが、その他のリスク因子についてはよくわかっていない。本研究ではICD10の全分類を利用し、COPDの発症に関与する因子をReal World Dataを用いて網羅的に探索した。
方法
高知大学医学部附属病院の匿名化されたデータを用いて解析を行った。1981年から2021年までの入院患者を対象とし、入院中のスパイロメトリー検査で一秒率が70%未満の患者をCOPD群、それ以外の患者をNormal群とした。また、COPD群では初回判定日、Normal群では最終入院の初回検査日を対象イベントとした。 この2群に対し、ICD10小分類における病名登録比率の網羅的探索を行った。有意になった病名、20検査項目、年齢、性別、喫煙指数を説明変数、COPD発症を目的変数としてロジスティック回帰分析を行った。
結果
有意になった項目でオッズ比が1よりも大きい項目は性別、年齢、喫煙指数、γGT、気管支及び肺の悪性新生物、心不全、非ホジキンリンパ腫のその他及び詳細不明の型、オッズ比が1よりも小さい項目はTP、その他の間質性肺疾患、屈折及び調節の障害、胆石症、非リウマチ性大動脈弁障害であった。
考察
性差や年齢、喫煙など既によく知られたリスク因子が有意になり、今回の方法の正当性が示された。また、気管支及び肺の悪性新生物、心不全、TP、γGT、胆石症、間質性肺疾患、非リウマチ性大動脈弁障害については、先行研究や病態機序から解釈可能である。さらに、非ホジキンリンパ腫のその他及び詳細不明の型、屈折及び調節の障害についてはCOPDとの関連性を示唆する先行研究も存在するが、評価は定まっておらず、今後の探求テーマと考えられる。