[3-H-1-08] 三大生活習慣病患者の長期的な病態推移の分析 -生活習慣病診断から5年以降に急性循環器疾患を発症した患者について-
Data Analysis, Longitudinal Changes of Morbid States, Lifestyle-related Diseases, Acute Vasculocardiac Disease
【背景】中高齢者で代表的な生活習慣病(LRD)である糖尿病、高血圧症、高脂血症(三大生活習慣病(3LRD))の1つまた複数を罹患している患者は、急性循環器疾患(ここでは急性脳血管疾患(A-CVD)と急性虚血性心疾患(A-IHD)が対象とし、A-VDと略す)の発症リスクが高いことは知られているが、長期的な発症予測は難しいとされている。そこで、LRD診断日から5年以降にA-VDを発症した患者の病態推移に焦点を当てた。【目標】LRDの診断時点での病態とそれから5年以降にA-VDを発症した時点での病態を比較し、どのような変化が起きているかを明らかにする。【方法】高知大学病院の病院情報システムIMISに蓄積されたデータの匿名化データ用いて、3LRDのどれかに罹患している患者で、最初に3LRDを診断された日から5年以降にA-VDを発症した患者を抽出し、病態の変化を調べる。注目する病態は、3LRDに加え、全身状態の悪化を示す慢性腎炎と慢性肝炎および冠動脈硬化の悪化と関連のある狭心症の発症とした。用いたデータは1991年から2010年までの20年間のデータである。【結果】3LRDの診断から5年以降にA-IHDの診断があった患者88人、A-CVDの診断があった患者508人であった。3LRD診断時に2つ以上の3LRDまた1つ以上のその他の疾患を持っていた患者は、A-IHD発症患者で27%、A-CVD発症患者で15%であったが、A-VD発症時にはそれぞれ94%と77%と大幅に増加していた。【考察】3LRDの診断から5年以降にA-VDの診断があった患者では当初の病態からの悪化があった患者が6割強おり、その変化を適切に捉えることができれば、A-VD発症の長期的な予想と予防が行えると期待される。【結論】3LRDの診断から5年以降にA-VDの診断があった患者では病態の悪化が6割強で見られた。