一般社団法人 日本医療情報学会

[3-H-4-03] 臨中ネット事業及び電子処方箋の用法マスタから見えてきた用法標準化の課題

*吉田 直樹1,5、坂井 亜紀子2、朝田 委津子3、武田 理宏4,2 (1. 大阪大学医学部附属病院 薬剤部, 2. 大阪大学医学部附属病院 医療情報部, 3. 名古屋大学医学部附属病院 メディカルITセンター, 4. 大阪大学大学院 医学系研究科 情報統合医学 医療情報学, 5. 大阪大学医学部附属病院 中央クオリティマネジメント部)

Drug usage, Standardization, Real World Data, Electronic Prescription

【背景・目的】臨床研究中核病院が参画するAMED事業「Real World Evidence創出のための取組み(臨中ネット)」では、厚生労働省標準規格の処方・注射オーダ標準用法規格(以下、標準用法規格)に準拠した処方データ用法の標準化に取り組んでいる。2020年調査時に、この規格を採用している参加施設は3/12施設(25%)と普及率が低く、また、電子処方箋事業の用法マスタでは、標準用法規格に準拠しない用法も含まれ、現行の標準用法規格のみでは実運用に対応できないことが予想された。本演題では臨中ネットの用法標準化作業及び電子処方箋用法マスタの分析から用法標準化に対する課題を報告する。
【方法】標準用法規格を採用していない8施設の内服用法に標準コードを採番し、採番できないものを抽出した。また、電子処方箋の用法マスタと標準用法規格の比較を行った。
【結果】上記の施設において、標準用法規格が採番できなかった用法は合計674/4178件(16%)あり、分類すると①表現できない、②除外要件、③読み替えに専門知識が必要、④2つ以上の意味を含む、⑤標準化するには不適当となった。また、電子処方箋の用法マスタを標準用法規格と比較した結果、内服用法に規格外のものが154/274件(57%)あった。これを分類すると①表現できない、②除外要件のものなどがあった。
【考察と展望】臨中ネット8施設の用法標準化は標準用法規格で大部分を網羅できた。しかし、採番できなかった用法は、電子処方箋の用法マスタで規格外となった用法と共通するものがあった。①表現できないもので共通する例として、「食事中」の用法は医薬品添付文書に「食事とともに」との記載があることから、実運用で必要な用法であることが示唆された。臨中ネットでは全施設の薬剤師で実運用に必要な用法を検討し、日本病院薬剤師会や日本医療情報学会に情報提供する予定である。