Japan Association for Medical Informatics

[3-H-4-05] ICF準拠の生活機能サマリーの構築
~医療と介護を共通言語でどのようにつなぐか~

*Sunao Watanabe1, Yumiko Uto2, Izumi Tanaka3, Satomi Ito3, Haruka Fukuda3, Sachiyo Kanekuni4,6, Daisuke Okamura4, Mayumi Suenaga5 (1. 医療情報システム開発センター, 2. 鹿児島大学病院医療情報部, 3. 手稲渓仁会病院, 4. 聖路加国際病院, 5. 与論町社会福祉協議会, 6. 現・聖徳大学看護学部)

ICF, standardized expression of functioning/disability, multidisciplinary and multi-institutional care-sharing

超高齢社会での患者健康管理では,急性期病院,回復期,慢性期医療機関,在宅介護の間でのコアな健康情報共有の基盤が求められるが,ここでは生活機能の評価がかかせない.ICF準拠の表現を用いて伝達を図ることが出来ないか,多施設におけるパイロット的フィールド研究を実施した.
【対象と方法】
患者の生活機能(障害程度)を表現するコアな項目として,ICD-11のV章の意図するところ,FIMやBarthel係数,ICF staging,要介護認定調査票の内容を吟味,最大公約数的位置づけをもって 23項を規定した.ICF準拠で.0~.4の5段階での評価を行うために,介護者が慣れ親しんでいる「要介護認定調査票」に準拠した45項目の質問を実施し,これを評点することで自動的に上記23項目の5段階評価が完成するアルゴリズムをWebアプリにて作成,利用した.
2022年3月~2023年3月,3地域の3つの医療・介護施設において別個に断続的に調査を実施し,それぞれ多職種で同一患者をほぼ同一時期に評点し,得られた評価の一致度についてκ係数分析を行って検討した.
【結果】
3施設において計19例の患者につき,退院時および施設入所時に看護師,療法士,介護者の少なくとも2職種が独立して評点をしたが,評点法の事前教育の欠如で判断に一定の基準を設けられなかったことや評点欠損箇所が多く出たこと等が影響し,最初にトライアルを実施した施設においてはκ係数平均0.37と振るわなかった.これを踏まえて一職種2名以上の相談で評点を実施する等の方法をとったところ,以後実施の2施設では0.55と一致率が上がった.
【考察】
評価に関する事前教育と協働によって満足すべき評点を容易に出来ると判断された.医療と介護が同じ標準コードによる共通言語で生活機能を評価し,患者のケアについて有効な情報共有・伝達が出来る標準ツールが十分可能と考えられた.